悪のニュース記事

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2003年12月29日(月) 00時00分

いつもは冷静なBBC(英国放送協会)の記者が、ちょっと興奮… 東京新聞


 いつもは冷静なBBC(英国放送協会)の記者が、ちょっと興奮ぎみに見えた。料金未納でガスを止められた老夫婦が死亡したのは、個人情報を保護する法律の不備ではないかというのだ▼報道によると、八十九歳と八十六歳の夫婦が自宅で遺体で見つかったのは、十月だった。未払いのガス料金は約百四十ポンド、およそ二万八千円分。ガス会社は夏に二度訪問し、手続きに従い十回の接触を経て供給を止めた▼もし自殺や心中なら大きなニュースにはならない。先週の検視法廷は、夫の死因を低体温症と心臓病、妻も心臓病と判定した。審理では、テーブルの上に約五万円分、靴の中にあった財布には約二十二万円分の現金が見つかったことも明かされた▼検視官は、大きな悲劇だと述べた。ガス会社は、情報保護の法律に従い、二人の困窮を知りながら、彼らの同意なしには、行政の福祉部門に連絡することができなかった。もちろん二人が役所に相談していたら死なずにすんだろう。しかし、他人の窮状を知りつつ救いの手を差し伸べられない法律は果たして正しいのか▼そこにBBC記者の悲憤もある。法律は人間のためにあると思っていたら、法律が人間より上位にあったという背理に似る。情報関係の法律がいくつもできた日本でも、どこかに落とし穴がないとはいえないだろう。社会の競争主義、効率化が進むほど弱い立場の人は声をあげにくくなる▼もう少し言えば、知らぬまに、弱い人の声が聞こえにくくなっているのかもしれない。ただの法律問題でないような怖さがある。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/hissen/20031229/col_____hissen__000.shtml