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2003年12月28日(日) 00時00分

過熱する百貨店の新年商戦  東京新聞

 歳末商戦がヤマ場を迎える中、各百貨店は新年の売り上げを左右するともいわれる福袋など初売りの準備で大忙しだ。消費者の財布のひもは固いが、おせち料理は高級品に予約が集まるなど“豪華主義”。各社が知恵を絞る福袋は、一億円の超高級品も用意され、内容は“過熱気味”となっている。元日から営業する店も増え、売り上げアップの新年ダッシュにかける意気込みは高まるばかりだ。 (経済部・砂上麻子)

 福袋は初売りの目玉。個人消費が低迷する中、新年ばかりか、一年の売り上げさえも左右しかねない商品だけに各社担当者は知恵を絞る。“お得感”のある中身は年々豪華になっているが、上質さも追求する。

 高島屋日本橋店ではダイヤモンドで装飾した高さ三十センチのシャンデリアの置物一億円が、池袋西武は西暦に合わせ最高額二千四万円の「宝石福袋」(エメラルドの指輪など)が登場する。各限定一個。

 アイデアで勝負の福袋も数多い。

 三越日本橋店は、大手出版のマガジンハウスと提携し「平凡パンチ」特別版の編集権を一千万円で売り出す。六十八ページで三百部を発行。自分が選んだテーマで取材、撮影した特別な一冊ができる。十人限定。

 プランタン銀座は、旅行券と洋服がセットになった「世界へ旅するジェットセッター福袋」(五十五万円相当が十万円、パリ、ニューヨーク、ミラノの行き先別に限定一個。全三種)を売り込む。スーツケースに各都市をイメージした洋服や雑貨が入る。男性バイヤーが選んだ銀座OLファッションを集めた二種類の「メチャモテ銀座OL福袋」(約十万円相当が二万円、各二十個限定)など趣向を凝らした福袋も用意。同社広報室は「消費者の好みに細かく対応しないと売れない」と話す。

 京王百貨店は、阪神タイガース優勝にあやかり「阪神タイガース福袋」(百四十五万円、限定一個)を発売。トラ柄の電気自動車Q−CARと阪神タイガース観戦ツアーなどをそろえた。

 「おせち料理」も高級品が人気だ。西武百貨店全体の予約は二万円台が人気で前年同期比10%増、有名料亭「なだ万」なども売れ筋。東急百貨店はインターネットで購入できるおせちを増やしたところ、一万、二万円を中心に予約が前年の五倍に伸びた。

 米国中枢同時テロや新型肺炎(SARS)の影響で海外旅行者が減った分、正月の消費の一部は、「高級おせち」に向かっているようだ。

 暖冬の影響で衣料品が不振だが、各社は既に春物を並べて、需要を先取りする。伊勢丹新宿店は十一月から春物婦人服を展開し、婦人衣料の売り上げは前年並みを維持している。

 大手スーパーのイトーヨーカ堂でも「防寒衣料品は数割落ち込んだ」ものの、春物のセーターやTシャツが並んでいる。

 百貨店の元日営業も広がっている。日本百貨店協会によると、来年元旦は全国で今年より四店多い二十五店が営業。二日初売りの店舗も二百五十三店に上り、全国の百貨店の99%が二日にスタート。大手スーパーは元日営業が定着している。消費者にアピールするために、通常は一月後半から始まる冬物バーゲンを初売りから始める店も増えている。

 米国で初の牛海綿状脳症(BSE)感染牛が見つかった問題で、牛肉の消費の落ち込みが懸念されるなど個人消費の先行きは不透明だ。アイデア福袋や需要の先取りで、各社は新年から消費者の財布のひもをゆるめようと、あの手この手で必死に知恵を絞っている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20031228/mng_____kakushin000.shtml