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2003年12月27日(土) 07時03分

「少ない仕事」重い現実 独立の夢かけた軽貨物運送河北新報

 独立開業を夢見て、軽貨物運送業者と配達業務の委託契約を結んだものの、「仕事が回ってこない」という訴えが東北で増えている。リストラされた中年男性が「第2の仕事」と期待をかけるケースもあるだけに、仕事量の少なさは深刻だ。開業のために業者からローンで営業用の軽トラックを買った人は、借金だけが残ることにもなりかねず、「業者は車を売って利益を得ているのではないか」という声も上がっている。

 長年勤務した会社を昨年退職した仙台市の50代の男性は今年、「独立開業。月収25万—40万円」という宣伝文句に引かれ、大阪府の軽貨物運送業者と業務委託契約を結んだ。業者から宅配や引っ越しの仕事を回してもらい、自前の軽トラックで運ぶという内容だった。
 しかし、男性は「この半年間で、20万円稼ぐのがやっとだった」と話す。

 軽貨物運送の個人事業者が増えるにつれて、契約をめぐる相談が目立つようになった。宮城県消費生活センターには、2000年4月から今年3月まで、計19件の相談が寄せられた。年代別では30代が7件、40、50代がそれぞれ6件で、すべて男性。福島県消費生活センターには2000年4月以降、30—50代の男性を中心に27件の相談があった。

 「仕事が回ってこないので、契約を破棄したい」「業者が信用できない」「車のローン返済ができないので解約したい」などの内容が多かった。
 契約に当たっては、運送業者からローンで営業用の軽トラックを買う人が多く、仕事が少ないと返済に困ることになる。

 仙台市の男性は車両本体価格約130万円の軽トラックを購入したが、実際の値段は付属品や税金、登録費用などを入れて約240万円になった。業者は「耐久性のあるオリジナルの幌(ほろ)などを装備しており、決して高い価格ではない」と話す。

 だが、男性は「車の販売で、もうけているんじゃないか」と疑問視する。青森県消費生活センターには「車のローンのために、消費者金融から借金した。業者に補償を求めたい」(50代男性)という相談も寄せられているという。

 宮城県内の場合、消費生活センターが仲介し、ローン減額にこぎ着けたケースが今までに6件あり、車の購入代金が重い負担になっていることを示している。

[軽貨物運送事業]個人が比較的簡単に進出できるため、ここ数年、増えている。宮城陸運支局によると、宮城県内の届け出は1999年3月末で2082件だったが、03年3月末には2314件に上った。運送業者との契約は個人との「業務委託契約」になり、両者に雇用関係はないため、労基法などの保護はない。明確な勤務時間があるなど一定の基準を満たせば、雇用関係が認められることもある。
(河北新報)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031227-00000007-khk-toh