悪のニュース記事

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2003年12月25日(木) 12時56分

春秋日経新聞

 改革の挫折や先送りで、評判がよくない政府の来年度予算案。その中で、なんとか期待を集めているのが、治安の悪化に歯止めをかける警察官の増員で、全国で3150人増やすという。ただ、数を増やしても解決しないのが、警察内部の組織と人の劣化だ。

▼25日にさいたま地裁が首謀者に無期懲役の判決を下した、桶川の女子大生ストーカー殺人事件で、埼玉県警と上尾署の警察官が取った行動は醜悪そのものである。脅しの深刻な実態と恐怖を訴える被害者の猪野詩織さんに対して、彼らが放った言葉は、「痴話げんかには介入できない」「警察は忙しい」——。

▼被害者・家族からの告訴を被害届に勝手に改ざんし、捜査を怠ったあげく、詩織さんは無念にも刺殺された。すると、担当の警察官らは、加害者らがばらまいていた中傷びらを押収していたかに見せかけるウソの文書まで作り、わが身と警察組織の保身をはかった。

▼3人の警察官が懲戒免職になったが、生命の危険を訴えた市民を見殺しにした罪も、殺人を防がなかった罪も問われてはいない。せいぜい虚偽の有印公文書作成の罪を負うくらいだ。最初は非を認めていた埼玉県警も、民事訴訟では居直って遺族を非難している。こんな組織でも税金を投じて増員すれば、治安の向上に役立つのだろうか。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20031225MS3M2500T25122003.html