悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年12月25日(木) 00時00分

3医師の1人無罪主張 青戸病院手術ミス 初公判 東京新聞

 東京慈恵会医科大付属青戸病院(東京都葛飾区)の腹腔(ふくくう)鏡手術ミスで千葉県松戸市の男性=当時(60)=が死亡した医療過誤事件で、業務上過失致死の罪に問われた執刀医の斑目(まだらめ)旬被告(38)ら三医師の初公判が二十五日、東京地裁(山室恵裁判長)で開かれた。斑目被告と主治医の長谷川太郎被告(34)は起訴事実を認めたが、前田重孝被告(32)は事実関係を認めた上で、無罪を主張した。

 罪状認否で、斑目、長谷川両被告は「本当に申し訳なく、ご家族におわびしたい」と謝罪。二人の弁護人は「複数の病院関係者の過失によるもので、三人だけに責任を負わせられない」と主張した。前田被告は「業務命令に従っただけで、腹腔鏡手術を避ける権限はなかった」と訴えた。

 冒頭陳述で検察側は、長谷川被告が以前から手術を行う際に本人や家族に説明をしてこなかったこと、事件となった手術をする際も、開腹手術と腹腔鏡手術を比較して説明すれば拒否されると考え、十分な説明をしなかったと指摘した。

 また、麻酔部の指導医から「ヘボ医者。できない手術をいつまでもやるんじゃない」と怒鳴られたのに、三被告が無視したことも明らかにした。

 この事件を受け、厚生労働省は重大な不正を行った医師については、有罪確定前であっても行政処分を行う方針を決定。「医療人として、あるまじき不正が明らかで、結果も重大だ」として、斑目被告ら三医師への初適用を決め、最も重い医師免許取り消しを視野に処分を検討している。

 病院側は、患者の死亡直後に警視庁に経緯を報告。九月に三人が逮捕された。この事件では、泌尿器科診療部長と輸血担当の二人の麻酔科医が書類送検されたが、不起訴処分となっている。

 起訴状によると、斑目被告らは昨年十一月、知識も技術もないのに、前立腺がんの男性患者に対し、高度先進医療の「腹腔鏡下前立腺摘除術」と呼ばれる手術を実施。必要な学内倫理委員会の承認を得なかった上、がん摘出後に周辺静脈を止血する際、出血で傷口が見えないまま器具を操作して傷口を広げ、大量出血を引き起こした。このため男性は脳死状態に陥り、一カ月後に死亡した。

<メモ>

 腹腔鏡手術 腹部に1センチ程度の穴を開け内視鏡の一種である腹腔鏡を挿入し、先端に付いたカメラで撮影した内部の様子をテレビモニターで見ながら、別の穴から体内に入れた電子メスなどを使って行う手術。従来の開腹手術に比べ、入院期間が短くなるなど患者の負担が大幅に軽減される一方、医師には熟練した高度な技術が必要とされる。日本内視鏡外科学会は、執刀医について10例以上の助手経験があるなど厳しいガイドラインを定めている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20031225/eve_____sya_____003.shtml