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2003年12月25日(木) 01時36分

12月25日付・読売社説(1)読売新聞

 [米国のBSE]「水際で阻止することが肝心だ」

 政府の迅速かつ、適切な対応が欠かせない。

 牛肉の世界的産地である米国で、BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)の疑いが濃厚な牛が見つかった。感染が確定すれば米国では初めてのBSE発症だ。

 政府は、米国からの牛肉と加工品の輸入を全面停止することを決めた。すでに輸入し、貯蔵されたり市場に出回っている米国産品のうち、脳やせき髄など特定部位と、それが混入している恐れのあるものについては、回収を指示した。

 当然の措置だ。牛肉に対する不安感の拡大を抑えるためにも、水際で食い止めなければならない。

 米国産牛肉は昨年度、二十四万トン輸入され、日本の国内消費量の約三割を占める。輸入停止で、品不足や価格上昇を招く恐れもある。政府は、業者に在庫の機動的な放出を促すなど、混乱の防止に努めるべきだ。

 これまで、BSE感染牛が確認されたのは、欧州を中心に二十三か国に上っている。北米では今年、カナダで初めて見つかり、隣国の米国でも発症の可能性が指摘されていた。

 日本では二〇〇一年に、最初の感染牛が確認された。狂牛病の感染源とされる肉骨粉の全面禁止が遅れた不手際の反省から、世界でも異例の全頭検査に踏み切り、これまでに九頭見つかっている。

 欧州各国も、一定年齢以上の牛をすべて検査している。だが、米国は、疑いのある牛しか対象にしないなど、検査態勢の甘さが目立っていた。

 日本は、カナダに対して輸入再開の条件として、全頭検査の実施を要求している。米国についても、同様の措置を求める必要がある。

 日本では牛肉履歴管理法が施行され、国産牛の生産・流通の過程がたどれるようになった。輸入牛についても同様の体制を採るよう、相手国に求めるべきではないか。

 現在、日本の牛肉の在庫は、国内消費の一か月分の約八万トンある。米国産の輸入が止まっても、すぐ品不足になることはないと農水省は説明している。関係業界は、売り惜しみなど価格上昇につながる行為は厳に慎むべきだ。消費者にも冷静な対応が求められる。

 昨年度の日本の牛肉輸入量は五十六万トンだった。最大の輸入先は二十六万トンの豪州である。

 豪州ではBSEが発症していない。ニュージーランドも同様だ。米国産分を、こうした国からの輸入にうまく切り替えることが、混乱防止や不安解消につながるだろう。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20031224ig90.htm