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2003年12月24日(水) 00時00分

犯罪総合対策 地域挙げての一歩に 東京新聞

 やっと政府が治安回復の道しるべを示した。犯罪の増加や悪質化に歯止めをかけるのは緊急の課題である。警察力頼みだけではなく、地域社会挙げて安心を取り戻す一歩にしたい。

 「今後五年以内に、国民の治安に対する不安感を解消する」。政府の犯罪対策閣僚会議がまとめた「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」の目標は明確である。

 全閣僚が参加する同会議は今年九月に発足した。各省庁の縦割り行政を超えてまとめた、初の総合的な対策である。

 行動計画は、(1)国民が自らの安全を確保するための活動の支援(2)犯罪の生じにくい社会環境の整備(3)水際対策をはじめとした各種犯罪対策−を治安回復の三本柱にした。

 特に、「平穏な暮らしを脅かす、身近な犯罪の抑止」を重点課題に挙げた。路上でのひったくりや恐喝、侵入窃盗など、国民の日常生活の不安に応えようという姿勢の表れだ。身近な犯罪を徹底的に検挙することが、未然防止につながることをあらためて強調したい。

 そのために「地域連帯の再生と安全で安心な街づくりの実現」を行動計画で強調している。

 一部の地域では住民やボランティアが自警団をつくりパトロールや防犯灯の設置など、自主防犯活動に乗り出している。人材の育成や、自治体・警察との協力態勢などのノウハウを求める地域も増えている。機材や装備の費用負担もある。

 こうした住民率先の防犯活動・地域づくりを支援するため、国や地方自治体はきめ細かい支援をする必要がある。

 また、警察や自治体は、地域のどこでどんな犯罪が起きているかなどの犯罪発生情報や防犯情報を住民に積極的に提供してほしい。当然、プライバシーへの配慮が前提だ。

 交番は地域との接点になりうる。全国約六千五百六十の交番のうち、警察官が不在となる「空き交番」は全体の約四割にのぼる。必要な警察官を交番に置き、犯罪抑止や地域との連携に役立てるように望む。

 監視の目が過度になってはいけないが、治安回復に向けて、地域住民も無関心や見て見ぬふりでは済まされない。

 治安には「割れ窓理論」がある。割れた窓を放置すれば別の窓が破られるように、小さな違反行為を放置すると大きな治安の悪化につながる。米国ニューヨーク市は地下鉄の落書きを消すなどの活動を徹底し、犯罪を激減させた。

 地域の連帯による地域社会の再生が、治安回復の原動力となる。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20031224/col_____sha_____003.shtml