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2003年12月24日(水) 13時51分

オウム松本被告主任弁護人・安田弁護士に無罪 東京地裁朝日新聞

 2億円にのぼる顧問先企業の財産を隠して債権者による差し押さえを封じたとして、強制執行妨害罪に問われた弁護士の安田好弘被告(56)=第二東京弁護士会所属=に対し、東京地裁は24日、無罪(求刑懲役2年)を言い渡した。川口政明裁判長は、安田弁護士との共謀を認めた同社元従業員らの供述の信用性を否定。「関係者の取り調べには捜査官の不当な誘導があり、一種の司法取引のような形で迎合する供述をしたとみられてもやむを得ない」と捜査を厳しく批判した。一方、検察側は判決を不服として控訴する方針を明らかにした。

 安田弁護士は、来年2月27日に判決が言い渡されるオウム真理教元代表・松本智津夫(麻原彰晃)被告(48)=殺人罪などで起訴=の主任弁護人だが、自身が逮捕・起訴されてからは弁護活動から離れていた。死刑廃止運動の中心メンバーとしても知られている。

 安田弁護士は、不動産会社「スンーズエンタープライズ(当時)」社長のスン・チョンリ(孫忠利)被告(68)=一、二審有罪、上告中=と共謀し、債権者による差し押さえを免れる目的で、スン社が所有するビルのテナントから入った賃料をダミー会社の口座に振り込ませ、93〜96年に計約2億円を隠したとして起訴された。

 弁護側は、経営悪化した会社が別会社をつくって賃貸部門を移し、従業員も移籍させて生き残りを図る「分社サブリース」を指導・助言しただけで、債権回収を妨害する意図はなかったと主張していた。

 判決は弁護側主張をほぼ認め、この指導をもって安田弁護士に刑事責任を負わせることは「いささか酷に過ぎる」と述べた。捜査段階で、スン社の元経理担当者が賃料収入を含む約2億1000万円を退職金として不正に横領した事実が発覚していたのに、検察側が公判の途中まで証拠を出さず、弁護側の尋問で明らかになったことについて「検察官の態度はアンフェアとの評価を免れない」と指摘した。

 この横領事件については検察側は不起訴処分にしている。

 99年3月の初公判から4年9カ月に及ぶ長期公判となり、安田弁護士自身も「(告発した)旧住宅金融債権管理機構と、(捜査した)警察・検察によって作り上げられた事件だ」と訴えていた。

 オウム真理教の松本智津夫被告の渡辺脩・弁護団長は「弁護団の目の前で身柄を奪い去られたときの悔しさを思うと、本当にうれしい。検察は控訴せず、決着すべきだ」と話した。

 <笠間治雄・東京地検次席検事の話> 予想外の判決であり、到底承服しがたいので上級庁とも協議の上、控訴する方針だ。

(12/24 12:11)

http://www.asahi.com/national/update/1224/008.html