悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年12月24日(水) 15時08分

<医療事故防止>リピーター医師を再教育 厚労相、緊急アピール毎日新聞

 坂口力厚生労働相は24日の閣議後会見で、医療ミスを犯した医師・歯科医師の再教育などを盛り込んだ「医療事故対策緊急アピール」を発表した。医療事故で医師が逮捕されるなど国民の医療不信が高まっているためで、事故防止対策を「人」「施設」「もの」の三つの柱で推進する。医師の質向上に焦点を当てた総合対策は厚労省として初めて。

 「人」の面では、医療ミスを繰り返す「リピーター」医師をなくすため、行政処分を担当する医道審議会の機能強化と、業務停止処分などを受けたリピーター医師らに対して再教育を義務づけることを検討する。最新の治療法を紹介する目的で学会や医師会が開催する講習会の受講歴についても、医師法に基づく2年ごとの届け出で報告させる。

 「施設」の面では、病院側が収録している手術記録ビデオを患者側に提供することを検討する。医薬品などの「もの」の面では、輸血の管理強化などを挙げている。【江刺正嘉】

 ◇不適格な医師の「退場」制度急務

 坂口力厚生労働相が24日公表した医療事故対策は、医師の質向上に行政がようやく本腰を入れ始めた点で評価できる。しかし、再教育システムだけではミスを繰り返す「リピーター」医師はなくならない。米国のように3〜5年ごとに医師免許を更新し、不適格な医師を医療界から退場させる制度の導入が急務だ。

 厚労省は昨年12月、医療ミスで刑事罰が確定した医師だけでなく、民事裁判でミスが認定された場合も行政処分の対象とすることを公表した。今年6月には民事裁判の結果を基にリピーター医師を積極的に処分する方針を決めた。

 だが、民事裁判で何回敗訴・和解した医師を処分するかなど、年内をめどにまとめるはずだった処分の具体的基準は公表されていない。医療側の反発で基準が後退すれば、処分強化方針は骨抜きになりかねない。

 今回の対策は、学会などの講習会の受講歴を2年ごとに報告させるとしているが、学会の講習会は形がい化が指摘されて久しい。国は学会に研修を“丸投げ”せず、積極的に関与して質を担保することが求められる。

 厚労省の姿勢に欠けているのは患者の権利の視点だ。カルテ開示や改ざん防止を義務づける法律は、医師のミスやミス隠しを防ぐためにも不可欠なのに、厚労省は今年、医師側の反発で制定を見送った。医療事故被害の公的救済制度を早期につくることを含め、患者の声にもっと耳を傾けるべきだ。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031224-00001058-mai-soci