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2003年12月23日(火) 12時23分

社説2 テロを生む土壌にメスを日経新聞

 自由にものが言え民主的な政治が行われている社会を脅かすテロは、芽のうちに摘んでおく必要がある。

 昨年11月から「建国義勇軍」などと名乗り、朝鮮総連の関連施設や田中均外務審議官宅などに銃弾が撃ち込まれたり不審物が仕掛けられたりした事件で、警視庁と八府県警は銃刀法違反容疑などで刀剣愛好会の会長ら12人を逮捕した。調べに対し、主犯格の「刀剣友の会」会長の村上一郎容疑者らは、犯行を大筋で認めている、という。

 一連の事件ではこのほかにもオウム真理教(アーレフと改称)の道場や教職員組合の事務所が銃撃され、野中広務前衆院議員の事務所などにライフル実包と脅迫文が送りつけられた。脅迫文の中で犯人は攻撃対象を「国を売る国賊」と決めつけ「天誅(てんちゅう)を加えた」といった身勝手な主張を展開している。

 幸い死傷者が出たり、建物が燃えたりする被害は出ていない。だからといって、見逃していい事件ではない。自分の主張を暴力で実現しようとしたり、自分が気に入らないと考える政策や意見を暴力で封殺しようとしたりする行為は、断じて許すことはできない。テロ行為が民主社会の敵として厳しく非難されるのは、暴力への恐怖をあおり「物言えば唇寒し」という風潮を招くからだ。

 今度の事件で注目しなければならないのは、逮捕された者には会社役員、歯科医師、住職といった社会的地位があり、年齢も40—50歳代が大半を占めることだ。

 これまで警察は、暴力団、総会屋、暴走族と右翼団体との境目がなくなってきたと指摘してきた。人的な構成が重なり合うからだ。しかしそのような既存組織の枠外にある集団がテロを引き起こしたことに警戒を要する。なぜ分別盛りの「普通の市民」が凶行に走ったのか。その土壌を解明する必要がある。

 事件の母体となった「刀剣友の会」の最高顧問に民主党の西村真悟衆院議員が就任し、政治献金や選挙の応援を受けていた。まさかテロ活動を知っての上ではないだろうが、同グループがどのような活動をしていたかはホームページで公開されている。民主政治の担い手である国会議員としての責任が問われよう。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20031223MS3M2300723122003.html