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2003年12月22日(月) 12時09分

国労などへの救済命令取り消し判決確定 JR不採用訴訟朝日新聞

 87年4月の国鉄分割・民営化の際、JR各社が国鉄労働組合(国労)の組合員らを採用しなかったことをめぐる4件の訴訟の上告審判決が22日、最高裁第一小法廷(深沢武久裁判長)であった。同小法廷は、不採用を不当労働行為と認定して組合員らを採用するよう命じた中央労働委員会の救済命令を取り消した一、二審判決を支持し、中労委のいずれの上告も棄却した。再雇用を求めて16年余に及んだ「採用差別」闘争は、国労などの敗訴が確定した。

 棄却は5裁判官のうち、横尾和子、甲斐中辰夫、泉徳治の3裁判官の多数意見だった。しかし、深沢、島田仁郎の両裁判官は「JRには使用者責任がある」とした上で、不当労働行為の有無について「審理を尽くすため、東京高裁に差し戻すべきだ」とする反対意見を述べた。

 4件の訴訟の当事者はJR北海道、東日本、東海、西日本、九州、貨物の各社と中労委。JRに採用されなかったのは、国労のほか、全国鉄動力車労働組合(全動労、現・全日本建設交運一般労組)の組合員らがおり、両組合員と両労組が訴訟に補助参加した。

 国鉄改革法には(1)国鉄はJRの設立委員の示した基準で職員を選んで採用候補者の名簿を作る(2)設立委員は名簿の中から採用する(3)設立委員の採用行為はJRが行ったものとする——と規定されている。

 訴訟では国鉄分割・民営化後のJRに採用責任があるかどうかが最大の争点だったが、第一小法廷の多数意見は「国鉄改革法は、職員採用の各段階で国鉄とJR設立委員の権限を明確に分離している」としてJR各社に使用者責任はないと判断した。一方、深沢、島田両裁判官は「職員採用では国鉄がJR設立委員を補助していて、JR各社は使用者責任があり、不当労働行為の意思がないと断ずることは出来ない」と述べて中労委や組合側の主張に理解を示した。

 分割・民営化をめぐっては国労組合員を中心に約7600人が希望しながら採用されなかった。このうち地元JRへの採用を求めて1047人が国鉄清算事業団に残ったが、その後解雇された。

 組合員の救済申し立てに対し、各地労委と中労委は「不当労働行為に当たる」と救済を命じたが、JR各社と労組側の双方が不服として94〜96年に提訴。東京地裁と同高裁は98〜02年、不当労働行為はなかったとして救済命令を取り消す判断を示していた。(12/22 11:53)

http://www.asahi.com/national/update/1222/005.html