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2003年12月21日(日) 01時38分

12月21日付・読売社説(2)読売新聞

 [『征伐隊』逮捕]「民主主義を脅かす卑劣な行為」

 正体を現さないまま、暴力的手段で個人、団体の言論や活動を封じ込めようとする。民主主義社会を脅かす、卑劣きわまりない行為だ。

 「国賊征伐隊」や「建国義勇軍」を名乗るグループによる拳銃発砲など一連の事件で、「刀剣友の会」の会長ら六人が逮捕された。

 直接の容疑は、五月と六月の、オウム真理教の施設と広島県教職員組合の事務所に対する計三件の発砲事件についてだが、警察は、グループによる犯行は、昨年十一月から先月にかけて計二十三件に上るとみている。

 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)や朝銀信用組合のほか、田中均・外務審議官、野中広務・元自民党幹事長など官僚や政治家も狙われた。不審物が仕掛けられたり、銃弾入り封筒が郵送されたりした。死傷者は出なかったが、社会に不気味な不安を与えていた。

 「刀剣友の会」会長らは、すべての事情を承知しているのか。ほかにも関与者がいるのか。動機や背後関係を含め、全容を徹底解明する必要がある。

 事件は、日朝首脳会談で北朝鮮が拉致や工作船によるテロを認め、拉致被害者五人が帰国した直後から始まった。多くは、北朝鮮問題と関連があるとみられる団体や個人が狙われた。

 警察は、「刀剣友の会」を右翼団体とはみていなかったが、会長には右翼的言動が目立っていた。会報にも「売国政治屋ども」「国賊は消えてなくなれ」などの言葉がみられる。

 言論には言論で戦おうとせず、テロなどの直接的な手段に訴えることは、その言論が敗北したも同然である。どんな理由があっても許されるものではない。会長は、会報の中で自らを「良識ある日本人」「誇りある日本人」だと書いているが、全く相いれない行為だ。

 民主党の西村真悟衆院議員が、七月から「刀剣友の会」の最高顧問に就き、議員が支部長を務める政党支部は、会長が経営する会社から計二百十万円の献金を受けていた。

 西村議員は「政治家として道義的責任を感じる」とする談話を出したが、結果として、テロ集団に社会的な信用を与えていたことになる。責任は重大だ。

 右翼のテロ事件は減少傾向にある。今年は先月までで一件だけだ。しかし、多くの拳銃が出回り、爆発物も簡単に作れる時代だ。国際テロもある。テロの潜在的脅威は明らかに増している。

 警察には、既成の団体にとらわれない幅広い情報収集と未然阻止、確実な検挙活動に全力をあげてもらいたい。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20031220ig91.htm