悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年12月19日(金) 00時00分

次の危ない銀行…業務改善命令9行金融庁、3月決算で注入決意もZAKZAK


危ない地銀行は? 年の瀬を前に、経済・金融界では早くも「足銀の次」探しが始まった 足利銀行が破綻(はたん)処理で一時国有化され、年の瀬を前に、経済・金融界では早くも「足銀の次」探しが始まった。デフレ不況下、ペイオフ全面解禁を約1年5カ月後の平成17年4月に控え、預金者も財産を守るのに自己責任を求められる。「危ない銀行」を一掃したい金融庁は、ダメ銀行に容赦なく公的資金を注入する構え。標的はズバリ、「今夏に金融庁から業務改善命令を受け、自己資本比率が低く、繰り延べ税金資産が過大な地方銀行だ」(大手銀行幹部)という。

 【足銀の影響で株下落】

 政府が足銀を破綻認定し、一時国有化を決めたのは先月29日。この日は土曜日で、週明け1日の東京株式市場では「足銀と同様、投資家が不安視する地銀株が大きく値を下げた」(金融担当アナリスト)。

 今月1日の東証1部の株価下落率ワースト10をみると、ワースト5まで地銀株が占めた。

 ワースト1位はむろん、破綻した足銀の持ち株会社、あしぎんフィナンシャルグループ(FG)。前週末からの下落率はマイナス37%だった。

 破綻劇の当事者だから当然といえば当然。「気になるのは、あしぎん以外で投資家の不安が大きかった2位から5位までの地銀」(同)

 2位はマイナス20.5%の福岡シティ銀行。株価は150円から112円まで下落した。その後も下落傾向が続き、2ケタ台突入の場面も。昨18日の終値は101円。

 3位は関東つくば銀行(茨城)でマイナス8.6%。4位は北陸銀行の持ち株会社であるほくぎんFG(富山)でマイナス8.3%。

 5位は来年10月に福岡シティ銀と合併する西日本銀行(福岡)でマイナス7.7%である。

 【業務改善命令ともリンク】

 ワースト5のうち、関東つくば銀を除く4行・グループは別表のように、金融庁から収益改善の業務改善命令を受けたか、関係のある地銀ばかり。

 あしぎんFG傘下の足銀、福岡シティ銀、ほくぎんFG傘下の北陸銀は改善命令を受けた当事者で、西日本銀は改善命令を受けた福岡シティ銀と合併する予定である。

 【注目は福岡シティ銀と西日本銀】

 このなかで、経済・金融界がもっとも注目したのは、「福岡シティ銀と西日本銀だ」(外資系証券幹部)という。

 この外資系証券幹部は「この2地銀は足銀破綻前から株価が下落し、今も下落傾向にある」と前置きして言う。

 「福岡シティ銀の株価は11月10日の192円から今月10日には100円を付け、昨18日の終値は101円。西日本銀も11月10日の305円から今月10日には166円とほぼ半減し、昨日は155円。この下がり方はどうみても異常」

 【公的資金のウワサ】

 福岡シティと西日本両行の株価が異常に下がり続ける背景には一体、何があるのか。永田町有力筋が解説する。

 「11月に入り、足銀に預金保険法102条に基づく措置をとることが秒読み段階となり、未確認情報が永田町や金融界を駆けめぐった。福岡シティ銀にも公的資金が注入されるかもしれないというものだった」

 実際はなかったが、それでも両行の株価は下がり続ける。福岡シティ銀は今月12日に終値で98円を付け、終値で2ケタに突入してしまった。

 【決算前に検査】

 金融庁関係者がそのへんの事情を明かす。

 「金融庁は11月に入り、福岡シティ銀と来年10月に合併する西日本銀に検査に入った。足銀と同様、9月中間決算の発表前に着手したので関心が集まったようだ」

 「その西日本銀は、合併相手である福岡シティ銀にデューデリジェンス(資産の再評価)に入ったが、福岡シティ銀の資産内容にかなり神経質になっていた」

 業務改善命令はこのほか、1面の別表のように、もみじホールディングス(広島)や熊本ファミリー銀行、北海道銀行、千葉興業銀行、八千代銀行(東京)、東日本銀行(東京)、和歌山銀行も受けている。

 先の3行・グループを含めて計10の地銀・第2地銀が対象となった。

 【資本脆弱(ぜいじゃく)】

 業務改善命令を受けた地銀・第2地銀のうち、平成15年9月中間決算で健全性の目安である自己資本比率が最も低いのは福岡シティ銀である。

 中身をみても、自己資本に算入し、「資本の過剰なカサ上げ」との批判が強い繰り延べ税金資産の割合も最も多い。

 福岡シティ銀の場合、中間決算時点での自己資本比率は5.4%。国内業務の最低基準である「4%」は上回っているものの、中核的自己資本に占める繰り延べ税金資産の割合は、実に76.6%にも達している。

 「健全性を示す自己資本比率が低く、繰り延べ税金資産への依存度が高い銀行が、(企業の目付け役である)監査法人から繰り延べ税金資産の取り崩しを求められたら、実質国有化されたりそなや足銀のように、大きなダメージをこうむる可能性が高い」(金融担当アナリスト)

 このほか、業務改善命令を受けた銀行のなかで、自己資本比率が他行より低めで、繰り延べ税金資産の割合が5割を超す銀行としては、もみじHDと北海道銀がある。

 もみじHDは自己資本比率が6.3%で、繰り延べ税金資産の割合が66.5%。北海道銀はそれぞれ6.3%、54.4%といった具合である。

 金融庁は年明けの通常国会に、「危篤じゃないけど健康でもない銀行を対象にした公的資金注入の制度」(竹中平蔵金融・経済財政担当相)を導入するための法案を提出する。

 これは、ペイオフ(預金などの払い戻し保証額を1000万円とその利子までとする措置)全面解禁を17年4月に控え、「危ない銀行」をなくすための制度である。

 金融庁の動きは、来年3月期決算で公的資金注入を受ける地銀が続出する可能性が高いことをはっきり意味する。

ZAKZAK 2003/12/19

http://www.zakzak.co.jp/top/t-2003_12/1t2003121918.html