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2003年12月19日(金) 03時20分

征伐隊事件で6人を逮捕 警視庁産経新聞

 建国義勇軍や国賊征伐隊を名乗るグループが在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)や政治家に銃弾を送り付けるなどした一連の事件で、警視庁公安部は19日、オウム真理教(アーレフに改称)東京道場銃撃など3事件に絡む銃刀法違反と建造物損壊の疑いで、岐阜市の会社会長、村上一郎容疑者(54)ら6人を逮捕した。

 併せて、村上容疑者の自宅など全国70カ所以上の関係先を家宅捜索した。

 昨年11月から1年にわたり北海道から福岡まで10都道府県で朝鮮総連や政治家、官僚らに銃弾を送り付けたり、施設を銃撃するなどした事件は計23件。逮捕容疑の3事件以外も村上容疑者らが関与したとみて、追及する。

 村上容疑者は刀剣愛好団体を主宰。13年には尖閣諸島に上陸し、海上保安部の事情聴取を受けた。

 調べによると、村上容疑者らは5月29日午後1時ごろ東京都杉並区のオウム真理教東京道場に拳銃1発を撃ち込んだほか、6月13日夜に大阪市西成区のオウム大阪道場を、同月27日夜には広島市東区の広島県教職員組合を銃撃した疑い。

 3事件とも発生直後、報道機関に「コクゾクセイバツタイ」などを名乗る男から犯行声明の電話があった。

 オウム東京道場事件で公安部は荻窪署に捜査本部を設置。現場周辺の聞き込みや防犯カメラの映像分析を基に、犯行に使われたとみられる不審車両について複数の目撃情報を得て村上容疑者らを割り出した。

 警察庁も警視庁など関係都道府県警の担当者を集め極秘会議を開き、10月に合同捜査本部を設置した。

 一連の事件は、昨年11月に東京の社民党本部と朝鮮総連中央本部に実弾と「朝鮮征伐隊」名の脅迫文が送られたのが最初。オウム道場銃撃などに続き9月には田中均外務審議官宅に不審物が置かれ、野中広務元自民党幹事長事務所に銃弾と抗議文が郵送された。

 さらに鈴木宗男前衆院議員、河野洋平衆院議長、加藤紘一元自民党幹事長らに銃弾と政治姿勢を批判する抗議文が次々に送り付けられた。

 関係者によると、村上容疑者は昭和60年、樹脂製品製造会社(岐阜市)の社長に就任し、61年から会長。

 征伐隊事件の逮捕者

 会社会長、村上一郎(54)=岐阜市西川手▽会社員、服部達哉(40)=兵庫県姫路市別所町北宿▽古物商手伝い、中村隆治(32)=横浜市神奈川区西神奈川▽パソコン教室講師、麻布孝弘(38)=岐阜県岐南町伏屋▽古物商、野々山文雄(52)=横浜市神奈川区松見町▽会社員、速水春彦(46)=岐阜県柳津町東塚(呼称略)

  征伐隊事件 「国賊征伐隊」や「建国義勇軍」「朝鮮征伐隊」を名乗るグループが2002年11月−03年11月、朝銀信組支店やオウム真理教(アーレフに改称)道場、教職員組合を銃撃したほか、朝鮮総連中央本部や野中広務元自民党幹事長ら政治家、官僚に銃弾と抗議文の郵送などを繰り返した。事件は計23件を数え、現場は北海道、山形、東京、神奈川、新潟、愛知、大阪、広島、岡山、福岡の10都道府県に及んだ。けが人は出ていない。グループは複数の報道機関に犯行声明の電話をかけていた。

 征伐隊事件の経過

 2002年11月9日 東京の社民党本部と朝鮮総連中央本部に実弾入り脅迫文。送り主は「朝鮮征伐隊」

 03・1・14 朝銀中部信用組合名古屋支店が銃撃され「チョウセンセイバツタイ」を名乗る男が犯行声明

 5・29 オウム真理教(アーレフに改称)東京道場が銃撃され「コクゾクセイバツタイ」が声明

 6・13 オウム大阪道場銃撃。「コクゾクセイバツタイ」

 27 広島県教職員組合銃撃。「ケンコクギユウダン・ベツドウタイ・コクゾクセイバツタイ」

 7・29−30 朝鮮総連新潟県本部銃撃、ハナ信組新潟支店で発火物らしい不審物。「ケンコクギユウグン」

 8・23 岡山市の朝銀西信組本店銃撃。朝鮮総連福岡県本部と朝銀西信組福岡支店などの近くに円筒状の不審物。「ケンコクギユウグンチョウセンセイバツタイ」

 9・10 田中均外務審議官(東京)宅駐車場に不審物。「建国義勇軍国賊征伐隊」

 11 野中広務元自民党幹事長事務所(東京)に銃弾と抗議文入りの封筒。送り主は「建国義勇軍」

 10・19−20 鈴木宗男元衆院議員の事務所二カ所(東京、北海道)、河野洋平衆院議長の自宅(神奈川県)、中山正暉元建設相の長男事務所(大阪)、加藤紘一元自民党幹事長の事務所(山形県)に銃弾と抗議文入りの封筒。「建国義勇軍国賊征伐隊」などが声明

 26 日本教職員組合が入る「日本教育会館」に不審物が置かれ、「多摩島しょ地区教職員組合」銃撃。「建国義勇軍国賊征伐隊」

 11・2−5 加藤元幹事長の事務所など三カ所(山形県)に銃弾入り封筒。送り主は「建国義勇軍国賊征伐隊」

 12・19 警視庁が銃刀法違反容疑などで岐阜市の会社会長ら逮捕

 徹底した現場捜査で網絞る

 朝鮮総連や政治家、官僚らを狙った「征伐隊」の実体を、警視庁公安部がとらえた。容疑者割り出しの決め手は、標的や声明などから読み取れる思想信条で対象を絞る従来の公安捜査ではなく、聞き込みなど徹底した現場重視の捜査だった。

 さらに公安部は警察庁とも協議、銃を撃った実行犯を特定しないまま、容疑者グループを銃刀法違反と建造物損壊容疑の共謀共同正犯として逮捕するという異例の方針で臨んだ。

 10都道府県で計23事件が発生。物証が乏しい上に標的が多岐にわたり、目的もはっきりしないことから、従来の手法では捜査が難航することが予想された。

 捜査が動きだしたのは今年5月末。オウム真理教東京道場が銃撃され、公安部は荻窪署に捜査本部を設置した。

 情報中心の捜査で容疑者を特定できなかった一連の朝日新聞襲撃事件(警察庁指定116号、3月に完全時効)の反省も生かされ、公安部は銃弾の鑑定とともに、初動での聞き込みなど現場捜査に全力を挙げた。

 公安部幹部は当時「名前は右翼的だが、標的が従来の右翼のセオリーから外れている」と分析していた。

 犯行時間帯に複数の不審車両の目撃があり、車両の後部が特徴的だったことが判明。周辺の防犯ビデオの分析も徹底し、車を特定した。さらに所有者との交友関係に捜査の網を広げ、携帯電話の通話記録などから、7月ごろには村上一郎容疑者(54)が浮上。

 広島県教職員組合銃撃で目撃された車の所有者の交友関係の中にも村上容疑者がおり、村上容疑者を主犯格とするグループを割り出した。

 「警察本来の現場にこだわった地道な捜査が容疑者の逮捕につながった」と公安部幹部。次々と繰り返された脅迫の動機、目的は何だったのか。事件の全容解明に向け捜査はヤマ場を迎えた。

http://www.sankei.co.jp/news/031219/1219sha042.htm