2003年12月19日(金) 11時22分

「征伐隊」「建国義勇軍」事件で刀剣愛好家６人逮捕（読売新聞）

一連の「征伐隊」「建国義勇軍」事件で逮捕され、自宅から連行される村上一郎容疑者（中央）（１９日午前、岐阜市で） 　 　「征伐隊」や「建国義勇軍」を名乗るグループによる北朝鮮関連施設への銃撃など計２３件の事件を捜査していた警視庁と大阪府警などの捜査本部は、今年６月の広島県教職員組合・銃撃事件など３件に、岐阜県岐南町の日本刀愛好会「刀剣友の会」の関係者が関与したと断定、１９日午前、同会会長ら６人を銃刀法違反（発射罪）などの疑いで逮捕、関係先約９０か所の捜索を始めた。

　捜査本部は、北朝鮮批判が高まる中、右翼思想を持つ同会会長らが行動をエスカレートさせたみて、田中均・外務審議官宅への不審物設置など他の事件の関与も追及する。

　逮捕されたのは、「刀剣友の会」会長で、同県岐南町の刃物販売会社「日本レジン」会長村上一郎（５４）（岐阜市）、会社員服部達哉（４０）（兵庫県姫路市）、古物商手伝い中村隆治（３２）（横浜市神奈川区）、パソコン教室講師麻布孝弘（３８）（岐阜県岐南町）、古物商経営野々山文雄（５２）（横浜市神奈川区）、会社員速水春彦（４６）（岐阜県柳津町）の６容疑者。みな刀剣友の会の会員。

　刀剣友の会は、日本レジンの顧客らを対象に同社が運営している愛好会で、会員数は自称３万人。

　調べによると、村上容疑者らは、＜１＞今年５月２９日夜、オウム真理教東京道場（東京都杉並区）に拳銃１発を発砲＜２＞６月１３日夜、同大阪道場（大阪市西成区）に拳銃３発を発砲＜３＞６月２７日夜、広島県教職員組合事務所（広島市）に拳銃２発を発砲——した疑い。

　いずれも「国賊征伐隊」や「建国義勇軍」を名乗る男が、犯行を認める電話を報道機関にかけていた。

　３件の事件の銃弾はいずれも３８口径で、銃弾の指紋といわれる「線条痕」も一致していた。また、広島県教組事件の直前に現場付近で村上容疑者とみられる男が目撃されていたほか、刀剣友の会の会員らが３件の事件前後に不審な行動をとっていたことが判明。捜査本部は、銃を撃った実行犯を特定しないまま、村上容疑者らが関与したと断定し、逮捕に踏み切った。

　村上容疑者は２００１年５月、右翼団体幹部らとともに尖閣諸島に上陸するなど、右翼関係者との付き合いが深かった。

　「征伐隊」などを名乗るグループの犯行は、東京都千代田区の朝鮮総連中央本部に銃弾入り封筒が郵送された事件（昨年１１月）や朝銀中部信用組合名古屋支店銃撃（今年１月）など約１年間に計２３件にのぼっている。（読売新聞）

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031219-00000002-yom-soci