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2003年12月18日(木) 03時07分

「仮救済」大幅に拡充…司法制度改革の骨格案固まる読売新聞

 政府の司法制度改革推進本部は、行政訴訟と労働訴訟の改革について、骨格案をそれぞれまとめた。行政訴訟では、原告になることができる資格を拡大するだけでなく、裁判所が必要に応じて判決前でも行政処分を停止できる「仮の救済」制度を大幅に拡充する。

 また、労働紛争の早期解決のため、裁判官と労使双方の委員が協力して審理する「労働審判制度」を2005年度にもスタートさせる。同本部は骨格案を、19日の「労働検討会」(座長・菅野和夫東大教授)と、22日の「行政訴訟検討会」(同・塩野宏東亜大教授)にそれぞれ示したうえで、来年の通常国会に関連法案を提出する予定だ。

 個人が行政機関を訴える行政訴訟の原告資格については、行政事件訴訟法が「法律上の利益を有する者」と規定しているため、裁判官がこれを狭く解釈し、「原告資格がない」と訴えを門前払いすることが多い。骨格案では、この規定は変えないが、裁判官が原告資格を認めやすくするため、同法に「原告資格を判断する際には、行政処分の根拠となる法令の目的、違法処分が行われた場合に害される恐れのある利益の内容や性質などを考慮する」と加えることにした。

 一方、現在の行政訴訟では、原告側が勝訴しても、すでに行政側の処分が行われるなどして、不利益を被ってしまうケースも少なくない。

 行政事件訴訟法が、判決前に行政処分などを停止できる要件について「原告が回復困難な損害を受ける場合」などと厳しい枠をはめており、事実上、判決前の「仮の救済」は閉ざされているためだ。

 このため、今回の改革では、同法の「回復困難な損害」という表現を「重大な損害」などに緩和する。また、裁判所が原告からの申し立てを受け、判決前に行政の処分を仮に差し止める制度を新設する。

 これにより、18日に控訴審判決がある「小田急高架化訴訟」のような場合、裁判官が要件を満たしていると判断すれば、一審判決前でも、いったん高架化工事の差し止めを命じることが可能になる。また、判決前に処分されてしまうと意味がなくなる国外退去処分取り消し訴訟でも、必要であれば判決前に処分を停止させ、実質的な救済を図れるようになる。

 新設される「労働審判制度」は、長期化しやすい労働訴訟に比べ、3回程度で結論を出す迅速審理が特徴。裁判官、労働者側委員、経営者側委員の3人が合議体を作り、多数決で決める。労使どちらかが審判の結論に不服があれば、そのまま訴訟に移行する。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031218-00000201-yom-soci