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2003年12月17日(水) 00時00分

住基ネット実験結果発表、市町村に戸惑い朝日新聞・

 県が16日発表した、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の実験結果は、総務省が自信を見せる安全性に疑問を投げかける一方、市町村にとっては個人情報の管理責任の重大性を突き付けられた格好となった。市町村からは戸惑いの声が出ており、県は今後の対策や情報開示が求められる。また一部の県幹部だけで進めてきた「密室性」に疑問の声も上がった。

 「透明性のある情報公開をして欲しかった。町への説明無しの公開は、住民に不安を与えかねない」

 実験対象となった諏訪郡下諏訪町の高橋文利町長は16日会見し、町への説明前に報道されたことに不満を述べた。

 高橋町長は実験結果を受け、住民から希望があった場合、住基ネットに個人情報を載せるか否かを選択できる制度の導入を検討する、とした。

 東筑摩郡波田町は、インターネットから庁内LANに侵入する実験の場となり、結果として侵入を防いだ。原田憲一助役は「安全性が確認できた」と実験を評価した上で、「田中知事の説明では、問題点や対応策がピンと来ない。問題は波田町だけでなく全国の市町村も同じこと。県には、国と実験の良い悪いを議論するのではなく、解決策を提示して協議し、運営上の適切な指導を期待したい」と注文を付けた。

 また、松本市の有賀正市長は「住基ネットは機械で、落とし穴もある。直して完全なものにすればいい。田中知事はあら探しではなく、市町村とともに住基ネットを発展させていくべきで、松本市で実験していただいても結構」と話した。

 県の侵入実験が一部の県幹部だけで計画、実施されたことをめぐり疑問の声が上がっている。インターネットからの侵入に失敗したことについても、「この実験が主眼だったはず。なぜもっと早く公表しなかったのか」と批判も出ている。

 県総務部関係者によると、第1次実験(9月22日−10月1日)の予算措置について、当時、所管する市町村課長だった西泉彰雄氏は決済印を押さなかった。実験内容について、十分な説明がなかったためで、宮尾弘行総務部長の決裁を経て、実施に至ったという。

 第2次実験(11月25日−28日)の経費は、市町村課長交代後の11月21日に決裁したと議会で明らかになっている。

 一方、波田町でインターネットからの侵入に失敗したことに対する県の評価にも異論が出ている。県側は「セキュリティーレベルが高かった。波田町を見習うべきだ」としたが、そもそも侵入実験の必要性について、県審議会は、「インターネット接続の危険性」を主な根拠にしていた。

 県幹部の一人は「市町村の職員や関係者が端末を違法に操作する可能性はどのシステムでもあり得ることだ。今回の実験は、このセキュリティ対策の不備を検証することが目的ではなかったはずだ」と指摘している。(12/17)

http://mytown.asahi.com/nagano/news02.asp?kiji=3852