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2003年12月16日(火) 13時14分

社説1 これだけなのか薬販売の規制緩和日経新聞

 コンビニエンスストアでは体に有害なことがはっきりしているたばこを売っている。だが、普通にのむ風邪薬や解熱鎮痛薬はまれに大きな副作用が起きるから、今後もコンビニなどでは売らせないのだという。

 厚生労働省の依頼を受け、薬剤師のいない一般小売店で売れる薬の範囲を検討してきた作業グループは16日、下剤や消化薬、体に塗り風邪の症状を和らげる薬など15製品群、350品目が「安全上、特に問題ない」とする報告をまとめた。厚労省はそれらの医薬品を「医薬部外品」に変更し一般小売店で売るのを認める方針だ。しかし、この程度なのかと思う向きも多いだろう。

 消費者がコンビニで深夜に売ってほしい商品の筆頭は薬で、それも風邪薬や鎮痛剤だといわれる。政府は今年6月「安全上特に問題がない」医薬品について一般小売店に販売を認める規制改革方針を閣議決定した。医薬の専門家が約1万3000品目の薬の中から選んだ結果がこれだ。

 どうもすっきりしない。離島や辺地には薬剤師を置かずに幅広く薬を売れる「特例販売業」が約4700店ある。また厚労省の昨年度の調査では一般薬店の2割強が調査時に薬剤師が不在で、この割合は高まる傾向にある。そうした店が大きな問題を起こした話はあまり聞かない。

 作業グループの報告はのむ風邪薬や解熱鎮痛薬は粘膜や皮膚がただれるスティーブンス・ジョンソン症候群やショック症状など副作用が起きうるので夜間に一般小売店で売るのは適当でないという考え方だ。だが薬店の夜間の対応も十分ではない。一部の薬剤師は輪番制で夜間に副作用が出たような消費者に対応しているが、あまり普及していない。多くは買い手自身の対応に任せている。

 またそれら副作用の発症の頻度はごくわずかである。まれにしか現れない副作用を理由に、歯や頭が痛くてたまらない客に薬を売らせないという現状のほうが問題は大きいともいえる。副作用の危険を薬の外箱に書いて注意を促し、買い手の自己責任に委ねてもよいのではないか。夜間に開いている医療機関も増えた。

 医薬部外品として認めるやり方にも問題がある。医薬品なら副作用が起きたとき公的救済の対象になるが部外品ではならない。また今後、一般小売店で売れる薬を増やすのにも限界があろう。薬事法を改め薬剤師がいなくとも可能な医薬品販売の新制度をつくるのが筋ではないか。

 専門家の検討結果を軽々に扱ってはならないが、これでは消費者の深夜の苦痛が解消しないのも事実だ。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20031216MS3M1600U16122003.html