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2003年12月15日(月) 12時20分

社説2 光ファイバーの火を消すな日経新聞

 NTT東日本は光ファイバー事業で「他の事業者の参入を制限し独占禁止法に違反した」とする公正取引委員会の排除勧告を拒否した。日本のブロードバンド(高速大容量)通信が世界一速く低廉になったといわれるだけに残念な出来事である。

 電気通信事業法によりNTTは光ファイバー回線の開放が義務づけられており、一本を月額約5000円の接続料金で他の通信事業者に貸し出している。ところがNTT東は戸建て住宅には接続料を下回る月額4500円で事実上サービスをし、他事業者の参入を妨げる私的独占を行ったというのが公取の判断だ。

 NTTは今年4月に利用料金を4500円に値下げしたが、その理由を回線を途中で32分岐する共用タイプを導入したためと説明した。ところが公取の調べによると、実際には分岐工事は行われず、一本を丸ごと提供していたという。

 分岐には費用がかかることから、NTT東は需要が増えた段階で工事をする考えだったようだが、その点は総務省も注意したため、来春までに対応するよう工事を進めている。従って「私的独占には当たらない」というのがNTT東の主張だ。

 一方、NTT西日本は予定通り分岐工事をしており、NTT東の怠慢は否めない。本来ならば公取が排除勧告で求めたように、早く分岐工事を終えるか、他事業者への接続料金を下げるべきであった。

 私的独占があったかどうかは今後、審判で争われるが、忘れてならない点はNTTも行政もどうすれば光ファイバーの利用が広がるかを考えることである。「e—Japan戦略」に基づき、NTTは来春までに加入者を全国100万件に増やす計画だが、今回の騒動で目標達成が遅れることは賢明ではない。

 光ファイバーの敷設が遅れている欧米諸国では、通信会社の投資を促すため、開放義務を課していない国も多い。しかし日本にはすでに未使用の「ダーク(火の入っていない)ファイバー」が数多くあり、その利用を促すことが先決である。需要の拡大がコストの低下にもつながるからだ。その意味で今回の事件をブロードバンド政策の公正なルール作りを目指す好機とすべきである。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20031215MS3M1500S15122003.html