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2003年12月13日(土) 09時13分

農水省指示で補助金108億円流用 食糧支援の社団法人朝日新聞

 北朝鮮などに対するコメ支援事業で、農林水産省所管の社団法人「国際農業交流・食糧支援基金」(JIAC)が02年度までの5年間で108億円の補助金を不正に内部で流用し、46億円を滞留させていたことがわかった。同省が法令違反の疑いが強い通知を作り、事業実績がないのに補助金を交付したり、使い残して精算すべき補助金を違う費目で翌年度以降に使わせたりしていた。同省は「法の趣旨に照らして不適切な通知だった」と認め、会計検査院も調査している。

 補助金等適正化法や会計法令では、経費が補助金交付額を下回れば精算しなければならず、翌年度に繰り越す場合も手続きが必要。本来なら国庫に戻し、ほかの事業に使うべき補助金を内部で留保していたことになる。

 事業は食糧危機の国に政府米を貸し付ける「緊急食糧支援事業」。同省が98年、JIACに備蓄や運送などを担当させて始めた。JIACは年度当初に同省の指示で補助金を申請。使った額を年度末に報告し、正式に交付を受ける。

 同省は99年度、使い残した補助金の繰り越しを、01年度には他費目に充てることをそれぞれ可能にする通知を出した。

 通知に従い、JIACは98年度のインドネシア支援(70万トン)で運送・保管費50億円を申請。実際に使ったのは26億円で、過払いの24億円を翌年度以降の備蓄費に回し、一部を滞留させた。

 00〜01年度の北朝鮮支援(50万トン)では00年度に80億円を受けたが、68億円を繰り越し、うち44億円は翌年度の運送・保管費に充て差額24億円をためていた。さらに「北朝鮮の支援が必要になるかもしれない」との同省の意向で02年度も同様に8億円を申請。実績がないのに同額の交付を受け、使わなかった。

 過払いや繰り越しは人件費など管理運営費や支援に伴う差損補填(ほてん)経費でも計8億円あり、累計補助金378億円のうち不正分は108億円に上る。

 同省は「突発的な事業に備えて、補助金を柔軟に扱えるように対応したかった」と説明。11月に通知を改め、ためこんでいた46億円は今年度の備蓄費に充て、余れば国庫に返納する。JIACは「農水省の指示通り処理してきた」としている。

    ◇

 <国際農業交流・食糧支援基金> 緊急食糧支援事業の実務を担当する社団法人で、(1)国内での備蓄(2)援助時の国内運送・保管(3)支援米が国際価格で返済されるため生じる差損の補填(ほてん)——が主な事業。前身は国際農業交流基金で、98年度に政府が同事業を始めた際に受け皿となり、改称した。(12/13 06:45)

http://www.asahi.com/national/update/1213/004.html