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2003年12月12日(金) 03時00分

南都銀行:融資返還訴訟で実印の有効性認めず 大阪高裁判決毎日新聞


 南都銀行(本店・奈良市)が奈良県内の男性医師(44)を相手取り、手形貸付による6億円の融資返還を求めた訴訟で、大阪高裁(大谷種臣裁判長)が手形に押された実印の有効性を認めず、銀行側の請求を棄却する逆転判決を言い渡していたことが11日、分かった。実印を押したのは男性の父親で、銀行側は男性に一度も会わずに融資を決めたと認定。はんこ一つで融資をした銀行側の安易な姿勢に警鐘を鳴らす判決となった。

 判決によると、南都銀行は90〜91年に男性名義で計6億円の手形貸付を行った。手形には男性の実印が押されていた。男性側は「父親が勝手に押した」と主張。銀行側は「私文書は、本人またはその代理人の署名または押印があるときは真正に成立したものと推定する」とする民事訴訟法の規定などを挙げ、「男性は父親が実印を使うことを了承していた」などと反論していた。

 01年の1審・奈良地裁判決は、「当初は父親が無断で(印鑑を)使っていた」とする一方、融資が男性の診療所建設費として使われたことなどから、「男性は最終的に融資を受けることを了承した」と認定し、返還を命じた。

 高裁判決は、銀行が男性と一度も会わず、意思確認もせず、男性から父親への委任状もないことから、「父親が勝手に借りたもの」と認定。「診療所建設による恩恵はあるが、借入を追認したとは認められない」と、銀行側の主張を退けた。

 南都銀行総合企画室は「主張が聞き入れられず残念。弁護士と相談して対応したい」としている。【野村和史】

 「銀行の貸し手責任を問う会」事務局長の椎名麻紗枝弁護士の話 民訴法の規定により、勝手に使われたものであっても、押印があれば銀行の主張が認められて身に覚えのない債務を負わされるケースが多い中、意義ある判決だ。

[毎日新聞12月12日] ( 2003-12-12-03:00 )


http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20031212k0000m040145000c.html