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2003年12月12日(金) 11時57分

ホテル側社長が療養所をおわび行脚 ハンセン病宿泊拒否朝日新聞

 熊本県南小国町のホテル「アイレディース宮殿黒川温泉ホテル」がハンセン病の元患者の宿泊を拒否した問題で、ホテルの経営会社の社長が各地のハンセン病療養所への「おわび」行脚をしている。11日までに全国の療養所15カ所のうち7カ所を回ったが、予約なしの突然の訪問。「宿泊拒否は当然」との主張を崩さず、元患者との完全な和解もしていない中での社長の行動に、元患者らからは「真意は何なのか」と戸惑いの声が出ている。

 行脚しているのは化粧品訪問販売会社「アイスター」(東京都港区)の江口忠雄社長。国立療養所菊池恵楓園(同県合志町)の元患者の宿泊を拒否し、同園側に謝罪する一方で記者会見などで「人権侵害の意思は一切ない」などと繰り返し主張している。

 青森市の国立松丘保養園。10日午後1時半ごろ、江口社長が部下と2人で突然訪れた。

 「熊本の件でご迷惑をかけた。全国の療養所を回っている。今後研修や勉強会をやるので、意見を聞きたい」。そう話して頭を下げたという。

 「何をしに来たのか。来るなら、熊本の問題をきちんと決着つけてからにしてほしい」。藤崎陸安(みちやす)同入園者自治会長(60)はそう言い、さらに「宿泊拒否は正しいと思っているのか」とただすと、社長は「あれは言葉の行き違い」と話したという。

 面会は約15分間。藤崎さんは「事前に打診があれば、断るか、自治会のみんなを集めて応対しただろう。それが嫌だから予約なしで来たのではないか」とみている。

 行脚は5日、熊本市の私立待労院診療所から始まった。

 同日、2カ所目となる鹿児島県鹿屋市の国立星塚敬愛園には午後4時すぎに訪れた。「ご迷惑をかけ申し訳ない」と頭を下げたが、宿泊拒否の理由などの明確な説明はなかった。川越優・同園自治会長(76)は「熊本県や恵楓園との話がついていないのに来たのは『各地でおわびした』という実績だけ残そうというのか」といぶかる。

 6日には国立奄美和光園(鹿児島県名瀬市)で自治会長と数分間だけ面会。国立沖縄愛楽園(沖縄県名護市)では自治会役員が外出中で名刺を置いて帰った。

 恵楓園の太田明・自治会長(60)は「謝罪をしながら『拒否は当然』と開き直られては、事態を解決しようとこちらから歩み寄った意味がない。主張を撤回してほしい」としたうえで、「何のため各地を訪問しているのか、真意をただしたい」と話している。

 アイスター広報室は11日、「恵楓園にご迷惑をかけ、同じ方たちも心配されていると思うので『ご迷惑をかけました』とごあいさつに行っています。すべての療養所を回りたいとの希望はあります」と説明した。

(12/12 10:36)

http://www.asahi.com/national/update/1212/004.html