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2003年12月11日(木) 12時03分

社説2 FTA成功へ国内調整急げ日経新聞

 タイ、マレーシア、フィリピンとの間で、自由貿易協定(FTA)を軸とする経済連携協定の締結交渉を始めることが決まった。小泉純一郎首相は来日中の3カ国の首脳と11日それぞれ合意した。

 関税の相互撤廃のほか直接投資の環境整備や通関手続き、知的財産権の保護などを盛り込む連携協定は日本にとって大きな利点がある。しかし近く始まる韓国との交渉も含め、農産物や看護師・介護士の受け入れなど日本側が譲歩すべき問題も多く、国内調整を急ぐ必要がある。

 タイのタクシン首相は日本で政治的に微妙な品目には配慮する姿勢を見せているが、同国はエビや鶏肉の関税撤廃に関心があるほか、コメ関税の減免を要求する可能性もある。マッサージ師や介護士の受け入れも求めている。フィリピンはバナナなどの関税撤廃に加え看護師、介護士の派遣、マレーシアは合板や水産物の市場開放に関心があるようだ。

 コメを含む農産物に関しては、農水省が一定規模を超える農家への所得補償制度の導入を検討している。実現すれば関税を下げやすくなるが、関連法案の国会提出は早くても2005年の見通しで、連携協定交渉の合意を遅らせかねない。中国が東南アジアとのFTA交渉で先行している事実を考えれば来年中には連携協定の内容で合意したいところ。

 もし所得補償の導入が遅れるようなときは、鶏肉など交渉の焦点になる品目について個別に対応策を決めておいたほうがよい。メキシコとのFTA交渉で最後にオレンジ果汁問題で決裂した教訓を生かしたい。

 看護師の受け入れでは、日本語の資格試験をパスしても4年間しか働けないという制約があり、まずはこの大幅な延長が必要だ。また英語の資格試験合格者でも、在日外国人患者の看護などニーズは多いはず。介護士やマッサージ師の受け入れも柔軟に考えてよいのではないか。

 さらに韓国はフェリーで日本に渡るトラック運送業者に業務を認めるよう求めているが、国土交通省は堅い。農業にせよ人材やサービス業にせよ、対外開放を進めれば一層の競争を通じ国内経済の活性化につながる。政府・与党はそれも視野に入れて前向きに取り組んでほしい。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20031211MS3M1100U11122003.html