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2003年12月10日(水) 00時00分

入居者深い悲しみ/大島青松園朝日新聞・

  熊本県内のホテルがハンセン病元患者の宿泊を拒否した。ホテル側が謝罪してひとまず決着かと思われたが、8日になって「(拒否は)当然の判断」という見解が出された。一連の騒動に、庵治町の国立療養所大島青松園で暮らす元患者らは複雑な表情だ。長い間差別に苦しんできた体験から、怒りを表に出すことに逡巡(しゅんじゅん)する人もいる。深い悲しみがそこにあった。

  入所者の本田久夫さん(74)は11月中旬、徳島県の支援者らの助けで古里の愛媛県西条市や広島県を旅した。半世紀ぶりの郷里はすっかり姿を変えていたが「楽しく過ごせた」と振り返る。

  その直後に起きた宿泊拒否問題に「腹立ち、悔しさも感じる」と話す。一方で「我々は外出するとき、接する相手がいやな気分になるかな、と絶えず気を遣う。口に出して相手を非難するのはなかなかできない」とも。表情はさえない。

  同園自治会長の曽我野一美さん(76)も「偏見が完全になくなるまではまだまだ時間がかかる」。「ハンセン病は不治の病ではなくなったが、世の中には感情的な恐怖心が依然として強い。認めることはできないが、(宿泊拒否は)当然あり得ること」と述べた。

      ◇

  9日、地元の庵治小学校の6年生52人が園を訪問、本田さんら入所者と歌やゲームで交流した。同校が年3回、総合学習で実施している訪問だ。本田さんは「こうして実際にふれあえば、偏見はなくなっていくはずだ」と、子どもらの将来に期待を寄せていた。


  熊本県でのホテル宿泊拒否問題 国立ハンセン病療養所菊池恵楓園(けいふうえん)=同県合志町=に入所するハンセン病元患者ら22人が、11月18日に同県の事業で宿泊予定だった「アイレディース宮殿黒川温泉ホテル」(同県南小国町)から「ほかの宿泊客に迷惑がかかる」として宿泊を拒否された。

  県と熊本地方法務局は同21日、ホテルを経営するアイスター(本社・東京)とホテルの総支配人を旅館業法違反の疑いで熊本地検に告発。

  同社の江口忠雄社長が12月に入って恵楓園を訪れて謝罪したが、同社は8日、ホームページに「(拒否は)予約の段階で、宿泊者がハンセン病元患者の方々であることを一切おしえていただけなかった事に起因している。『宿泊拒否はホテル業として当然の判断』との主張になんら変更はありません」とする正式見解を掲載した。

  見解は、謝罪について「弊社と県側の板ばさみになり、楽しみにしておられた旅行ができなかったことへの人道的なおわび」とした。

(12/10)

http://mytown.asahi.com/kagawa/news02.asp?kiji=6030