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2003年12月09日(火) 02時16分

12月9日付・読売社説(1)読売新聞

 [住民税均等割]「『地域の会費』の見直しを急げ」

 納税額が少ない税でも、税の仕組みが時代にそぐわなくなれば、一刻も早く是正しなければならない。個人住民税の「均等割」は、その代表だ。

 総務省が均等割の改革に重い腰を上げた。自民党税制調査会も、早急に是正を図るべきである。

 住民税は所得に応じて課税される所得割と、所得の多寡にかかわりなく一定額を課税される均等割で構成される。

 都道府県税の均等割(標準税率)は年間千円で全国一律だ。しかし、市町村税は人口の規模によって異なり、五十万人以上の市が三千円、五万—五十万人未満の市が二千五百円、町村と五万人未満の市が二千円と格差が設けられている。

 かつて小規模市町村の行政サービスは大都市に劣った。しかし、例えば中学校の木造校舎の面積比率は大規模市の0・2%に対し3%、ごみ処理実施率も100%に対し97%と、ほとんど遜色(そんしょく)がない水準に追い付いている。

 小規模市町村の税率を低くすることの根拠はもう失われた。人口規模別の格差は撤廃すべきである。

 均等割は、妻の収入を優遇しすぎてもいる。男女共働きで夫と生計を一にする妻は、どんなに所得が多くても非課税、と定められているのだ。

 所得割には、この規定がない。そのため、均等割を納めず、所得割だけを納めている「生計同一の妻」は、全国で約八百三十四万人に及ぶ。

 誰もが同じ額を納める均等割は「地域で暮らすための会費」という性格が最も強い地方税だ。共働きの妻だけ非課税という規定は、これと矛盾する。

 パートなどで年所得が百万円以下なら別の規定で非課税になる。それ以上の所得がある妻には、均等割を納めてもらう方向に改めるべきだ。

 戦後の地方税制が確立された一九五〇年度、個人住民税の税収のうち、18%は均等割だった。しかし、二〇〇一年度の比率は2%に過ぎない。

 累進課税の所得割は所得が増えれば税収も加速度的に増える。その自然増収が続いたことで、これまでは均等割を増やさなくても財政を運営できた。

 だが、所得の伸びが止まり、地方財政は国と同様、厳しい状況に追い込まれている。国に税源移譲を求める以上、地方も税収増に独自の努力が求められる。

 高知県は「水源税」として、均等割を五百円割り増し徴収している。各自治体がそれぞれの状況に応じて税率を決めるのが理想だが、単独での引き上げは政治的に難しい。次善の策として、国が標準税率を引き上げる手もある。 

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20031208ig90.htm