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2003年12月09日(火) 15時20分

<地震保険訴訟>住民請求を棄却、損保の違法性認めず 最高裁毎日新聞

 95年1月の阪神大震災時に自宅などを焼失した神戸市東灘区の住民19人(一部は遺族が継承)が、損保会社との保険契約をめぐり7社1団体と争った訴訟で、最高裁第3小法廷(藤田宙靖裁判長)は9日、損保側に約1200万円の慰謝料支払いを命じた大阪高裁判決(01年10月)を破棄し、請求を全面的に棄却する判決を言い渡した。住民側敗訴の1審判決が確定した。

 2審判決は震災に絡む約30件の火災保険金訴訟の中で唯一、損保側の説明義務違反を認めたが、同小法廷は「説明に慰謝料を支払うほどの違法性はなかった」と判断した。

 日本の火災保険には、地震では保険金を払わない地震免責条項があり、その代わり、本人の意思表示がない限り地震保険に同時加入する「原則付帯方式」がとられている。原告は契約から地震保険を外していたが「その意思はなかった」と主張し、損保側に説明を尽くさなかった過失があるかどうかが上告審の争点だった。

 判決は「仮に損保側からの情報提供に不十分な点があったとしても、特段の事情がない限り、それだけで慰謝料を払うほどの違法行為とは評価できない」と述べ、2審判決よりも説明義務違反を限定的に解釈した。そのうえで今回のケースは(1)原告側には説明を求める十分な機会があった(2)損保側が意図的に地震免責条項の説明を隠した事実はない——などと指摘して「慰謝料請求権を認める特段の事情はない」と結論付けた。

 2審判決は、本人でなく損保側の従業員が意思確認欄に押印していた事実などから「押印の意味の説明を怠った」と認定し、慰謝料として地震保険に入っていれば支払われたはずの保険金の1割の支払いを命じていた。

 原告が住んでいた東灘区魚崎北町では、地震の約8時間後に発生した火事で85棟が焼失した。被災者54人が計約7億4000万円の保険金支払いを求めたこの訴訟は、32人が控訴や上告を断念して敗訴。3人が保険適用を認められて勝訴し、残る19人と損保側が最高裁で争っていた。【清水健二】

◇ことば 地震免責条項

 地震が原因で発生・延焼・拡大した火事については、保険金を支払わないと定めた約款の条項。大地震が起きた際の保険会社への過剰な負担を避ける狙いがある。地震でも少額の「見舞金」は支払われる。生命保険にも同様の免責条項があるが、生保各社は阪神大震災ではこれを適用せず、保険金を支払った。火災保険と別に結ぶ地震保険の全国の加入率は02年度で16.4%にとどまっている。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031209-00001035-mai-soci