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2003年12月08日(月) 01時49分

12月8日付・読売社説(1)読売新聞

 [年金改革]「安定財源確保に欠かせぬ消費税」

 「国家百年の計」をめぐる論議が、こうも及び腰でいいものだろうか。

 年金改革をめぐる政府・与党の調整が難航している。

 将来の給付と負担の水準については、論議が収斂(しゅうれん)しつつある。だが、基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げるための財源確保の問題は、先送りの様相が強まっている。

 来年夏の参院選を控え、国民の負担増につながる論議は避けたいというのが、政府・与党の本音だとすれば、何とも情けない。

 国庫負担割合の引き上げは、年金改革の大前提である。政府・与党は正面から財源問題に取り組み、道筋を示す責任があることを、改めて指摘したい。

 今回の年金改革で最も重要なことは、持続可能な制度を構築し、年金への信頼を取り戻すことだ。従来のように、給付減と負担増を繰り返す“逃げ水年金”では、将来不安は消えない。

 政府・与党は、将来も50%以上の給付を確保することで合意した。高すぎるとの批判もあるが、老後の安心を保証する年金の目的からみて妥当な水準だ。

 保険料率については、「20%が上限」とする厚生労働省と公明党に対して、自民党や財務省、経済界が強く反発し、18%を軸に調整が続いている。

 保険料率の引き上げは、勤め人本人はもちろん、企業にも重い負担となる。給付の水準を維持しつつ、できる限り、引き上げ幅を抑える工夫が求められる。

 例えば、百四十八兆円に上る年金積立金の活用である。厚労省は高齢化がピークを迎える二〇五〇年ごろから徐々に取り崩す案を公表している。もっと前倒しして、保険料率の引き上げ抑制に使うことを検討すべきではないか。

 給付と負担の水準を決めたとしても、肝心の財源問題があいまいなままでは、絵に描いた餅(もち)に終わってしまう。

 国庫負担割合の引き上げには二兆七千億円が必要となる。政府・与党は五年かけて段階的に引き上げるとともに、来年度は年金課税を強化して、増税分を引き上げ財源に充てる方針を固めている。

 段階的に引き上げるとしても、年金課税の増税分は年間二千億円程度にとどまる。これでは到底足りない。

 安定財源の確保には、国民全体で薄く広く負担する消費税を引き上げるしかないとの認識が広く共有されつつある。

 在任中の消費税率引き上げを否定する小泉首相も、「議論は大いに結構」としている。そうであれば、近くとりまとめる与党税制改正大綱に、消費税率引き上げの検討の着手を明記すべきである。

 

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20031207ig90.htm