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2003年12月07日(日) 00時00分

横浜市採用試験 点字受験認めず  全盲障害者 門前払い 東京新聞

 横浜市は、市職員採用試験で視覚障害者に対し点字受験を認めず、全盲の視覚障害者を事実上、「門前払い」にしている。国はもちろん、県内では神奈川県や川崎市が、点字受験を認めている。横浜市は「点字の試験をしても実際に点字を使った仕事をするわけではないから」と応じる構えはないが、視覚障害者の団体は「詭弁(きべん)でしかない」と批判、「受験する機会さえ与えないのは人権問題だ」と強い怒りをみせている。 (金杉 貴雄)

 横浜市は一般の採用試験や、一九八六年から実施している身体障害者対象の試験、いずれでも点字受験は行っていない。弱視障害者は文字を大きくして見るための拡大読書器の使用が認められているが、全盲か全盲に近い視覚障害者は受験できない。

 理由について市人事課は、(1)採用試験ではその試験を通じて適性をはかるが、点字試験で採用しても点字の仕事をするわけではない(2)全盲障害者ができる仕事が少ない−としている。

 これに対し、視覚障害者を支援するネットワーク「View−Net神奈川」の新城直会長は、「採用試験は、本人の知識や教養、人物を測るためのもの。読み書きの能力を測る目的ではないはず」と反論。市の説明を「全くの詭弁だ」と批判する。

 全盲障害者の仕事についても「書類の読み書きが不自由でも、企画や市民への対応など、工夫すればできる仕事はたくさんある。音声ワープロなどのパソコン機器も開発されている」と指摘する。

 横浜市立盲学校では、児童生徒の三割ほどが点字を使用しているという。新城会長は、「障害は性別と同様、本人のせいではない。にもかかわらず受験の機会さえ与えないのは人権問題だ」と訴え、「横浜市という政令市のリーダー的存在がこんな対応をしているのは、視覚障害者を採用する気がないだけ」と憤る。

 既に八〇年から一般事務職で点字の採用試験を認めている神奈川県では現在、三人程度の全盲視覚障害者が勤務。仕事を手助けする「ワークアシスタント」や音声ワープロなどを利用して業務を行っている。県人事課は、「平等に機会を与え、全盲でも能力のある人は採用する。障害者が働ける環境を整備するのは行政の責任」と語る。

 川崎市は二〇〇一年度から点字試験を認めた。当時、十二政令市のうち、すでに八市が点字試験を導入していた状況や、情報機器の開発を勘案して判断したという。

 横浜市人事課も、「市側の意識の問題が大きいのかもしれない」と対応の遅れを認め、視覚障害者の採用や業務について検討中という。しかし、点字試験の導入は現在のところ考えておらず「別の試験方法を検討している」と話していた。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kgw/20031207/lcl_____kgw_____001.shtml