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2003年12月07日(日) 00時00分

競争生き残り スーパー知恵比べ 東京新聞

 レジの行列解消にスーパーが本腰を入れ始めた。大手のイオンは先月、買い物客が自分で商品に張られたバーコードを機械に読み取らせる、国内初のセルフレジを一部店舗で導入。対照的に「カリスマチェッカー」と呼ばれる従業員の早業で、精算のスピードを上げるスーパーもある。デフレ不況の下、少しでも売り上げを伸ばすには「レジ待ち」のイライラ解消は重要な課題。スーパーの知恵比べが始まった。 (経済部・池井戸 聡)

■<簡単>大手イオン セルフ好調、増設も

 セルフレジ四台を導入したのは、イオン傘下の食品スーパー、マックスバリュ松ケ崎店(千葉県柏市)。早速、現地での買い物に挑んだ。

 買い物かごをレジ左横の台に置き、両手でコーヒー豆をバーコードの読み取り部へ運ぶ。「ピッ」と音がしたのを確認し、豆をレジ右の台へ。ジャムも同様に精算した。

 ただ、バーコードが張られていない野菜は操作が複雑だ。バーコード読み取り部の上にある画面から、自分で野菜の種類や数を選ばねばならない。画面上の「終了」を押し、代金を投入口へ。おつりとレシートが出て、精算は終わった。

 セルフレジの奥には、従業員が一人だけ立つ。お酒を買うと、レジ上の黄色のランプが点灯。未成年でないか確認する。レジには店内の約二万に上る全商品の重さが記録されており、バーコードを通っていない商品を台に置くと、レジが重さの違いを感知。赤ランプが点灯して、精算漏れや万引を防ぐ。

 主婦(29)の感想は「操作は意外に簡単」。先月三十日に来店した客四千六十人のうち、セルフレジの利用者は16%の六百五十人だった。以前は十台だった同店のレジはセルフレジ導入で増え、有人の八台と合わせ計十二台に。イオンは「従業員が少ない時間帯も稼働させられるセルフレジは効果的」と強調。他店への設置も検討する。

■<満足>中堅オオゼキ 早業対応で時間短縮

 スーパーがレジ待ち解消に力を入れるのは「レジの待ち時間が長いとの苦情が断トツに多い」(大手スーパー)ためだ。業界全体の売上高が昨年まで五年連続で減少する中、客の満足度を高めないと生き残れない。

 従業員に占める正社員の比率が約八割と高い中堅スーパーのオオゼキ(東京都世田谷区)は、バーコードの「早通し」の技術を持つレジ係が多いことで知られる。

 同社は「情報流出を避けたい」と取材を拒否するピリピリぶりだが、都内の店舗をのぞくと、両手に商品を持ち、次々とバーコードを通すレジ係がいた。“難関”の野菜もボタンの位置を完ぺきに覚えスピード対応。他店より格段に速い。

 このほかアサノ(宮城県)は、全国のスーパーで唯一、読み取り機にカードをかざすだけで瞬時に支払いが済む電子マネーをレジで導入する。「おさいふカード」の名称が受け、四店舗の利用者は七千人を突破。レジ待ちを緩和した。

■<不安>ICタグ実用化なら瞬時会計も可能に

 現在、将来のレジ待ち解消の最終兵器とされるのはICタグ(電子荷札)。砂粒以下のタグを商品につければ、一品ずつ読み取り機にかけなくても合計を瞬時に計算できる。

 これまでICタグは一個が数百円程度と高額だったが、日立製作所は今月四日、来春には一個十円程度で商品化できると発表。実際にレジで使われる可能性も出てきた。

 とはいえ「レジ係との会話を楽しみにする高齢者も多く」(マルエツ)、精算のスピード化を進めすぎると、サービス面に不安が出てくる。

 イトーヨーカ堂は、一台のレジに従業員二人を置く「ダブルレジ」を導入するが、鈴木敏文会長は「こだわりすぎるとノーサービスになる」と話し、セルフレジの導入には否定的だ。

 サービスとレジ待ち解消をどう両立させるか。スーパーの悩みは尽きない。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20031207/mng_____kakushin000.shtml