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2003年12月06日(土) 01時42分

12月6日付・読売社説(2)読売新聞

 [白装束集団]「住民の不安除く徹底解明を」

 白装束集団「パナウェーブ研究所」のメンバー五人が福井県警に傷害容疑で逮捕された。

 四月から五月にかけ、車を連ねて岐阜、長野、山梨三県の山中を迷走し、林道を占拠して住民とトラブルを起こした集団である。

 警察庁の佐藤英彦長官は「装束、行動は異様で、オウム真理教の初期に似ている」とし、全国の警察本部に、違法行為があれば、あらゆる法令を駆使し、厳正に対処するよう指示していた。

 今回の逮捕容疑となった事件は、そうした中で起きた。住民の不安を除くために、活動実態や活動資金の流れを解明しなければならない。その情報をできる限り公開することが必要だ。

 逮捕の容疑は、メンバーの福岡教育大助教授を竹刀などで繰り返し、殴打したというものだ。助教授はその後、死亡したが、団体内では、“教え”として、精神を高めるために、会員の体を殴打するのが日常的だったという。

 団体は、教祖的な存在の女性が設立したグループの下部組織だ。「共産主義者からの電磁波攻撃を防ぐため」として衣服や施設を白ずくめにした。常識では理解できない。住民が不気味に感じるのも無理からぬことだろう。

 福井県警以外でも、警視庁が、虚偽の自動車登録の容疑で全国の関係先を捜索した。その結果、関連団体が集めていた約二十四億円について、適正な税務申告をしていなかった疑いがあるとして東京国税局に資料を送っている。公安調査庁も集団の動向を調査している。

 関係当局は、情報を集約して、対処すべきだろう。

 オウム真理教の事件以降も、常識からかけ離れた教えを持つ集団が絡む犯罪が起きている。一九九九年に、脳内出血で入院中の兵庫県の男性を運び出し、治療を受けさせずに死亡させた事件があり、二〇〇〇年には、宮崎市内でミイラ化した子供の遺体が発見された。

 こうした集団の出現は、社会に対する不安が背景とみられるが、法に触れない限り、信教の自由は尊重される。

 白装束集団にも、移動中は、自治体が公道からの退去を勧告した。だが、福井市の拠点に戻ってからは、市は、地域住民に迷惑をかけないように求めるにとどまっている。

 住民の生活に不安を与える集団については、犯罪行為に走る危険がないかどうか、監視を続けていく必要がある。

 警察当局は、オウム真理教に対する初期捜査が遅れ、サリン事件など一連の凶悪事件を防ぐことができなかった。その苦い教訓を忘れてはならない。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20031205ig91.htm