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〈公事（くじ）三年〉——公事は訴訟のこと。昔の人は三年という表現で訴訟はとかく長引くものだと嘆いた。が、この訴訟は三年ならぬ三十三年もかかった◆成田空港建設を巡る訴訟の話。きのう最高裁は空港建設の正当性を認め、反対派住民の敗訴が確定した。すでに歴史を裁くおもむきもあって長過ぎる裁判のむなしさを思う◆提訴が一九七〇年三月、一審判決が八四年七月、二審判決が九二年十月、そしてきのう上告審判決。提訴当時千六百人以上いた原告は一審判決の時点で七十三人、上告審判決では二十八人に減った◆空港は七八年に開港。その後、国側と反対派の一部が話し合いに合意したり、訴えの取り下げもあった。公事三年と言われた昔には〈公事と病は長く扱うべし〉などという驚くような言葉もある◆が、これは焦らずにという戒めであり決して、風化させて解決するなどということではない。〈長過ぎる裁判は裁判の無きにひとしい〉がむなしくも響くが、それは、言い続けなければならない◆この訴訟、最高裁で十年余もかかったのがとりわけ？だ。