2003年12月05日(金) 15時12分

＜武富士＞盗聴の大半、会長の息子絡み　長男、二男トラブル抱え（毎日新聞）

　消費者金融最大手「武富士」の元総務部課長、中川一博容疑者（４２）が行った６件の盗聴のうち４件は、同社会長、武井保雄容疑者（７３）の長男（３８）と二男（３３）に絡む案件だったことが分かった。警視庁捜査２課は、トラブルを抱えた２人の息子を守るため、武井会長が中川容疑者に盗聴を指示した疑いもあるとみて調べている。

　長男に絡んだ盗聴が行われたのは、０１年１〜２月。中川容疑者は「長男が香港での株取引で、多額の損失を出したと報道された。ジャーナリストが取材で香港に行ったとの情報があり、会長から動向を監視するよう命じられた」と供述している。この盗聴で、中川容疑者らは４日、電気通信事業法違反容疑で再逮捕された。

　長男は９５年１月に入社し、００年６月に専務に就任したが、０１年６月に「一身上の都合」を理由に退職している。

　二男は９３年６月、同社に入社。９９年６月に取締役営業統轄本部長に就任し、現在、専務となっている。「臨店」と呼ばれる支店の抜き打ち検査を担当していた００年３月、香川県丸亀市の支店に行った際、随行社員が元支店長の男性に暴行を加える傷害事件を起こした。男性は同日中に退職し、３日後に香川県警丸亀署に傷害容疑で告訴、社員が逮捕された。

　中川容疑者は「男性が会社を訴えると話していたので、二男のいる場で起きた事件が表面化するのはまずいと、会長の指示があった。男性の動きを抑えるために動いた」と話し、元支店長を盗聴したことを認めている。元支店長は４日、この時の盗聴などで精神的苦痛を受けたとして、武富士に３３００万円の損害賠償を求める訴訟を広島地裁に起こした。

　また、００年８月には、インターネットで二男に対してとみられる批判情報が流れた。二男に関する情報を流したと疑われた同社役員と元社員の盗聴が行われた。

　関係者は、武井会長が“親心”からこうした盗聴を指示したとみており、捜査２課で背景を調べている。【立山清也、三木陽介】（毎日新聞）

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031205-00001062-mai-soci