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2003年12月05日(金) 11時57分

<オウム裁判>林泰男被告に2審も死刑判決 東京高裁毎日新聞

 12人が死亡した地下鉄サリン事件(95年3月)を含む3事件で殺人罪などに問われたオウム真理教(アーレフに改称)元幹部、林泰男被告(45)に対する控訴審で、東京高裁は5日、1審の死刑判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。村上光鵄裁判長は「地下鉄サリン事件の悪質性、残虐性、結果の重大性、遺族の処罰感情、被告が散布したサリンで8人の生命が奪われたことに照らすと、死刑を選択するほかない」と述べた。

 教団による一連の事件で、控訴審の死刑判決は4人目で、地下鉄サリンの散布役では横山真人被告(40)=上告中=に次ぎ2人目。

 判決は、林被告が地下鉄サリン事件で他の実行役より多いサリン3袋を引き受けたのは「自発的ではなかった」と認定し、本来の性格も「凶暴・凶悪ではない」と指摘した。しかし、「実行役は結果全体について刑事責任を負うもので、教団の組織的犯行であることや、首謀者や指揮者が存在することは、死刑を回避する事情にならない」と結論付けた。

 被告側はサリン噴霧車の製造に携わったとして、殺人ほう助罪などに問われた松本サリン事件(94年6月)について、「犯意がない」と無罪主張したが、判決は「噴霧実験の立ち会いなどで毒ガスのサリンをまくことを認識していた」と退けた。また、弁護側が「内乱罪に相当する」として首謀者の松本智津夫(麻原彰晃)被告(48)以外の死刑は重過ぎると主張した地下鉄サリン事件については、「直接の目的は警察の強制捜査阻止で、内乱罪の実質はない」と判断した。

 林被告は両サリン事件のほか、新宿駅青酸ガス事件(95年5月)で殺人未遂罪に問われている。【清水健二】

 ◇8人死亡の事実の重さ、減刑を許さず

 「くむべき事情を最大限考慮しても、死刑の選択しかない」。殺人罪などに問われたオウム真理教(アーレフに改称)元幹部の林泰男被告(45)に、再び極刑が言い渡された。5日の東京高裁判決。かつて「殺人マシン」とまで指摘された被告に、裁判長は「元来の性格は、そのような呼び名が当てはまらない」と理解も示したが、被告がまいたサリンで8人が死亡した事実の重さから、減刑を許さなかった。

 グレーのスーツと白ワイシャツ姿で入廷した林被告に、裁判長は開廷直後、主文を言い渡した。「控訴を棄却する」。被告は硬い表情のまま直立し、裁判長に促されてゆっくり席に座った。

 控訴審で被告側が強調したのは、暴走した教団に対する「恐怖」だった。「(不満分子として)教団にポアされると思った」「自分をだましていた」。松本智津夫(麻原彰晃)被告(45)に逆らえなかった自分を責める言葉が繰り返された。しかし判決は、松本被告への恐怖心は「被告が供述するほど深刻だったとは考え難く、事件への関与も消極的だったとは言えない」と退け、「被告の弁解には自己保身的な姿勢がみられる」とも述べた。

 林被告は、警察の強制捜査から約2年、女性信者との逃亡を続けた。裁判長はこの点についても「この間、再び無差別殺人が行われるのではないかとの恐怖や不安を社会に与えた」と厳しい言葉を投げた。

 弁護人によると、被告は松本被告への帰依がなくなった今も、拘置所でめい想や合掌をしており、今月初旬の接見でも、死刑判決を覚悟しているのか、落ち着いた様子だった。一方で被害者や遺族へのおわびの手紙を書いては破き、心の葛藤(かっとう)も続いているという。【清水健二】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031205-00001039-mai-soci