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2003年12月05日(金) 10時32分

猛毒のPCB「環境省の調査ずさん」 総務省が改善勧告朝日新聞

 かつてコンデンサー(蓄電器)や蛍光灯の一部などに使われていた猛毒性のあるポリ塩化ビフェニール(PCB)をめぐり、事業者が法で定められた適正な管理をしていない例が目立ち、しかも監督官庁である環境省の実態調査もずさんだったことが総務省の行政評価・監視でわかった。総務省は5日、環境省に対し、改善勧告を出した。

 01年7月施行のPCB特別措置法に基づき、環境省に02年度、都道府県を通じ保管を届け出た事業所は約5万3000カ所だった。PCBは01年以前は廃棄物処理法に基づき厳重な管理を義務付けられており、総務省が念のため、当時の旧厚生省や業界団体が調査したPCBを保管していた事業所のリストと照合したところ、多数抜け落ちていることが判明した。

 このため、総務省が、環境省のリストになかった製造業者や学校など1418事業所を追跡調査。その結果、現在も保有しているのに都道府県などを通じ環境省に届け出をしていない事業所が545カ所にのぼった。

 さらに、総務省は環境省の届け出リストにあった226事業所も抜き出して実地検査した。約4分の3にあたる167カ所は(1)容器が法律で定める密閉式でない(2)保管場所に掲示板がない、など基準に違反していた。PCBを全部か一部紛失した事業所も5カ所、電気工事業者に違法譲渡した事業所も2カ所あった。

 総務省は環境省に対し、PCBを保管する事業所の再調査や、都道府県にも立ち入り検査などを厳しくすることを指導するよう勧告した。

 環境省の森谷賢・産業廃棄物課長は「把握しきれなかった事業所があったのは確かだ」とした上で、「年内に都道府県の担当者を集め、届け出に漏れのないよう周知徹底したい」としている。

      ◇      ◇

 <PCB> 毒性が強く、微量でも脳の発達を阻害するとされる。絶縁性や不燃性からコンデンサー(蓄電器)や蛍光灯の安定器に絶縁油などとして使われていたが、食用油に混入したカネミ油症事件(68年)を機に72年に製造中止となった。分解しにくく処分が難しいため、廃棄物処理法は特別管理産業廃棄物に指定して事業者に保管を義務付けていた。01年施行の特別措置法は事業者に保管状況の定期的な届け出も定めた。環境省は無害化処理施設を全国数カ所に計画している。(12/05 10:31)

http://www.asahi.com/national/update/1205/016.html