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2003年12月04日(木) 00時35分

企業に大モテIP電話 経費節減に活躍朝日新聞

 ブロードバンド(高速・大容量通信)の普及とともに広がるIP(インターネット・プロトコル)電話を導入する企業が増えてきた。通話料が安く、経費節減になるからだ。将来は個人の利用を上回るとみられる。ただ、緊急通報がかけられないことや、雑音が混じるなどの欠点もある。

 マンション・アパートの賃貸会社「レオパレス21」(本社・東京)。社員が「短縮ボタン」に続き3けたの番号を押す。

 電話の相手は地方の支店だ。同社では、9月から、本社と全国115の支店にIP電話を導入した。使い方はこれまでと同様、短縮番号を押すだけだ。実際には、回線ごとに「050」で始まるIP電話専用の番号や、6けたの内線番号が新たにふられたが、短縮番号の登録内容を替えることで使い勝手は従来と同じだ。

 年配の社員には、新しいシステムは苦手だという人もおり、坂口康英・総務部長(56)は、「これまでとかけ方を全く同じにする、という条件で、NTTコミュニケーションズに導入を依頼した」と話す。

 約3000ある固定電話回線の約3分の1をIP電話に替える。本支店間の通話は無料で、社外の固定電話にかける際は全国一律3分8円。基本料も減る。投資コストは1億3000万円だが、導入後の通信費は、年間7億円から5億円へ2億円の削減となる見通しだ。

 大きな企業は通常、各事業所間を内線用の専用線で結び、構内交換機(PBX)で内線と外線通話の「交通整理」をしている。さらにこれとは別にデータ通信用の専用網(IP網)をひき、各パソコン間をむすんでいる。

 一方、IP電話の場合は、音声も、データ通信網にのせてしまうため、音声専用の内線網は不要になる。データ通信網のサーバーが交換機の機能を持ち、外線番号にかけた場合は、自動的に一般の固定電話網に接続する。従来の方式に比べるとシステムの管理費も安くなる。

 コスト削減のため企業の関心は高まっている。東京ガスはこの6月から一部の拠点で導入、1年間かけて約80カ所の全拠点で採用する計画だ。三井住友銀行もこの8月から本店など一部の拠点で導入した。

 今後さらに企業の利用は増えると見られている。IT専門の調査会社「IDCジャパン」は、国内のIP電話市場は、02年の31億円から07年には7200億円に膨らむが、05年以降は法人向けが個人向けを上回る、と予測している。

 ただし、IP電話はたくさんのデータが流れ、混雑している場合、通話中に「プツッ」という雑音が入ることがある。

 また、110番や119番など緊急電話がかけられない。発信者が電話を切っても、着信側が接続状態を確保したり、発信者の場所を着信側で特定したりするなど、緊急電話に必要な機能を、IP網上で実現するのが技術的に難しいためだ。

 NTTコミュニケーションズは「IP電話が完全に固定電話にとって代わるのはまだ無理」と話す。当分はすみ分けが続きそうだ。(12/04 00:21)

http://www.asahi.com/business/update/1204/001.html