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2003年12月04日(木) 14時37分

武富士会長自ら「訴訟起こせ」、批判報道に圧力狙う?読売新聞

 消費者金融最大手「武富士」(本社・東京都新宿区)の会長武井保雄容疑者(73)らによる電話盗聴事件で、同社は、ジャーナリストに対する盗聴を始めた2000年末から、雑誌社などを相手取った1億円以上の損害賠償請求訴訟を次々と起こしていたことがわかった。

 同社に批判的な記事が一部雑誌に掲載された直後から同社の株価が急落したため、武井容疑者は報道への不信感を募らせていたといい、自ら請求額を示しながら「訴訟を起こせ」と指示することもあったという。

 電気通信事業法違反ほう助の疑いで逮捕された元専務小滝国夫容疑者(61)が、拘置理由開示の法廷で行った陳述によると、武井容疑者の指示で同社の幹部や元幹部7人に対する盗聴を始めたのは1996年ごろから。同法違反容疑で逮捕された中川一博被告(42)に盗聴を引き継いだ後も、当初は盗聴対象者は同社関係者に限られていた。

 ところが、一部の雑誌や新聞に武富士に批判的な記事が相次いで掲載された2000年11月、それまで1万1000円前後で推移していた同社の株価が急落し、同月22日には5650円にまで落ち込んだ。中川被告の供述などによると、武井容疑者は、この株価下落を契機に、批判的な記事を書いたジャーナリスト山岡俊介さん(44)らの盗聴を指示するようになったという。

 一方、武富士は、これと並行する形で、2000年11月から12月にかけて、山岡さんや雑誌社などに対し、いずれも請求額1億円の訴訟を相次いで起こした。さらに、2001年には、雑誌社などを相手取り、請求額2億円の訴訟2件を含め少なくとも3件、2002年も2件、今年も少なくとも5件の訴訟を起こしていた。

 武井容疑者に近かった元社員の証言によると、広報担当の社員が独自ルートで、批判記事が掲載された雑誌の記事を発売日前に入手して武井容疑者に報告すると、事実関係にかかわらず、「何とかならないのか」とどなり、雑誌社に暗に“圧力”をかけるよう求めることもあった。また、自ら請求額を示して「訴訟を起こせ」と指示することもあったといい、報道を巡る訴訟は事実上、武井容疑者の意向に基づいて起こされていた。

 中川被告は業務上横領事件の公判で「(武富士は)海外から資金調達をしており、(武井容疑者は)日本の投資家だけでなく、海外の投資家を意識していた」などと供述。元社員も、「武井容疑者は『うちの株価は2万、3万円あっても当たり前の会社』と漏らすなど、会社の実力を見る指標として株価を特に気にしていた」と語る。

 訴訟では武富士側が勝訴するケースもあるが、武富士被害対策全国会議代表の新里宏二弁護士は「武富士が起こすマスコミ関係の訴訟は請求額が法外で、事実上の言論弾圧だ」と話している。

         ◇

 東京地検は4日、中川一博被告(業務上横領罪で公判中)、重村和男容疑者ら4人を電気通信事業法違反(通信の秘密の侵害)の罪で起訴した。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031204-00000105-yom-soci