悪のニュース記事

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2003年12月03日(水) 16時29分

春秋日経新聞

 都会はカネのにおい、都市は文化の香り、などという。そのカネのにおいには、時々とんだ腐臭が混じってくる。消費者金融の最大手、武富士の武井保雄会長が、部下に盗聴を指示した容疑で逮捕された。超ワンマンは、カネのにおいにむせて道を誤ったのか。

▼かつて都会の駅前を代表するにおいは、立ち食いのそば、うどんだった。寒風が吹き抜ける街角では、そばに限らず、カレー、ラーメン、おでんに焼き鳥と、温かそうな食べ物のにおいが、官能を刺激する。今、懐も冷え込み、駅前で光る消費者ローンの看板に、おいしいにおいを感じる人も多いのかもしれない。

▼都市研究家の上田篤さんによれば、都市とは神さまのおわすところなのだという。今から5000年前、チグリス川、ユーフラテス川のほとりに、ジッグラトと呼ぶ神殿を中心に、シュメールの都市が出現した。情報を発する町である。以来、中核に寺院を置く神のいる、神のにおいがする都市が、西洋にも広がる。

▼ニューヨークの摩天楼も、カテドラルを擬したものという説すらある。日本の都市にこうした明確な中心はまれ。あちこちに散在する鎮守の神さまとそれを囲む森。多神教の日本の都市は、さりげない神をそこここに抱えている。日本的な心が、どこまでイラク戦争の解決に貢献できるのか。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20031203MS3M0300I03122003.html