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2003年12月03日(水) 16時29分

社説2 借金漬けの中のこの無駄日経新聞

 国の財政も地方自治体の財政も借金漬けである。国、地方を合わせた2002年度末の長期債務は、重複分を差し引き約700兆円に達する。同年度の国内総生産(GDP)の1.4倍を超える危機的水準にある。そんな中で巨額な無駄遣いを生む事業や行政コストの増大を招く不合理な会計システムが維持されている。

 会計検査院が、2002年度の国の決算検査報告をまとめた。消費者金融からの借金に頼りながら浪費を続ける「借金依存症」の家計のような財政の現状が明らかになった。

 無駄な支出や徴収漏れで国が損害を受けたと指摘された金額は、400億円と前年度より64%急増し、過去20年で最悪となった。外務省の機密費不正支出事件をきっかけに、検査姿勢が一段と厳しくなったこともあるが、ずさんな予算執行や会計処理が横行している表れであろう。

 前回(2001年度)の検査報告が明らかにしたように、欧米に比べ日本の行政機関は内部監査体制が十分でない。それが外務省に限らず、検察庁の調査活動費や警察の情報収集費などを巡る疑惑を呼ぶ背景となっている。不正経理に目を光らせる地道な検査へ国民の期待は高い。

 事業や制度そのものが効果を上げていなかったり、社会経済の変化に対応していなかったりする事例も後を絶たない。その典型が初めて取り上げた諫早干拓事業である。2回目の事業変更で投資効率は0.83に低下し、投下した事業費を事業の効果で償えない事態となっている。廃止が決まっている石油公団の石油開発事業では、累計2兆1000億円を投融資したが、6割が損失となった。

 いずれももっともな指摘だが、問題はタイミングである。なぜもっと早く指摘できなかったのか。その意味で早急に取り組んでほしいのは、40兆円の負債を抱えた道路公団の返済リスクについての検査である。今回も見送ったのは解せない。

 電子政府構想を支える官庁の情報システムの発注体制が業者頼みとなっている現状や、「三位一体改革」に併せて自治体の負担意識を薄れさせる地方交付税の仕組みにメスを入れたのは評価できる。参院は決算審査に力を入れているが、政策見直しに迫る根本的な議論をしてほしい。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20031203MS3M0300K03122003.html