2003年12月03日(水) 00時00分

武富士会長を逮捕 盗聴指示した疑い （東京新聞）

　消費者金融大手「武富士」（東京都新宿区）元社員によるフリーライター宅盗聴事件で、警視庁捜査二課と保安課は二日、同社元課長中川一博容疑者（４２）＝電気通信事業法違反容疑で逮捕＝に盗聴を直接指示していたとして、同容疑で同社会長武井保雄容疑者（７３）＝杉並区高井戸西二＝を逮捕するとともに、同社本社や武井容疑者の自宅、自宅に併設されている同社関連施設「真正館」など数十カ所を家宅捜索した。事件は大手消費者金融トップの逮捕へと発展した。　

　これまでの調べでは、中川容疑者は「武井会長の指示で盗聴を行っていた」と供述。同社元専務小滝国夫容疑者（６１）＝同法違反の疑いで逮捕＝は当初、「かつて自分の独断で幹部社員七人の盗聴を探偵会社に依頼した。武井会長は関与していない」と供述したが、最近になって関係者には武井容疑者の関与を認めた。同容疑者関与の有無が捜査の焦点となっていた。

　調べに対し、武井容疑者は「（盗聴には）かかわっていない」と容疑を否認しているが、捜査二課は、中川容疑者の供述や同社役員の事情聴取、押収資料の分析を進めた結果、武井容疑者の関与があったと断定。社内で絶対的な立場にあった武井容疑者が小滝、中川両容疑者に直接盗聴を指示していたとみて、盗聴に至った動機や背景などを追及し、事件の全容解明を進める。

　調べでは、武井容疑者は二〇〇〇年から〇一年にかけ数回にわたり同社会長室などで、中川容疑者に、武富士問題を追及していたフリーライター山岡俊介さん（４４）の自宅電話の盗聴を指示。中川容疑者から依頼を受けた探偵会社代表重村和男容疑者（５７）らに二〇〇〇年十二月から〇一年二月にかけ、世田谷区内の山岡さん方の電話に盗聴器を仕掛けさせ、盗聴した疑い。

　別の事件の公判に中川容疑者が提出した陳述書などによると、中川容疑者は二〇〇〇年八月ごろ、それまで盗聴業務を担当していた小滝容疑者が退職した際、社内に残した調査会社一覧表を武井容疑者の秘書（故人）から受け取り、武井容疑者からの直接指示で重村容疑者に盗聴を依頼していた。武井、中川両容疑者は、盗聴を「耳の件」と隠語でやりとりし、社内での発覚を防いだ。盗聴の録音テープは重村容疑者から中川容疑者が受け取り、本社十一階の会長室で武井、中川両容疑者だけでテープの内容を聞いたという。

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20031203/mng_____sya_____005.shtml