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2003年12月03日(水) 19時26分

<預金返還訴訟>東京地裁が「印影以外の確認も必要」と初判断毎日新聞

 盗まれた通帳と偽造印鑑で約430万円の預金のほぼ全額を引き出された千葉市の男性(61)が、中央労働金庫(当時の千葉労働金庫)に預金返還を求めた訴訟で、東京地裁(小島浩裁判長)は3日、「届け出印と払い戻し請求の印影は同一と認められない」と労金側の過失を認め、全額の支払いを命じた。

 判決は「印影をスキャナーで簡単に偽造できる社会情勢では金融機関は過去の出入金など印鑑以外の確認も併せて行うべきだ」という初判断も示し、今回のケースについて「身分証明書の提示を求めたり、勤務先を確認したりするなどの注意義務を尽くさなかった」と認定した。

 判決によると、男性は99年11月、通帳の盗難に気付いたが、約1カ月前に労金幕張支店でほぼ全額を引き出された。請求書の印影は慎重に見れば届け出印と違いがあった。窓口に来た30代くらいの男は手袋をしたままで勤務先もあいまいにしか答えられなかったが、労金側は不審に思わず、払い戻しに応じていた。

 労金側は「印影に同一性を疑わせるほどの違いはなく、照合手続きにも過失はなかった。それ以外の確認をすべき特段の事情もない」と反論していた。

 同種の訴訟で預金者側の勝訴は過去に数例あるが、昨年7月に発足した被害対策弁護団が2度にわたって起こした集団訴訟では最初の判決。原告側弁護団は「『印鑑照合さえしていれば免責される』という過去の判決を抜本から見直した画期的判断」と評価している。【清水健二】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031204-00000045-mai-soci