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2003年12月02日(火) 00時00分

増える防犯カメラに規制朝日新聞・

 防犯カメラについて検討してきた杉並区の「区監視カメラ専門家会議」(会長=三好達・元最高裁長官)が1日、山田宏区長に提出した答申は、公共の場所などへのカメラ設置に届け出義務を課すなどとした内容だった。街角に増え続ける防犯カメラに、一定の規制をかけようという試みだ。この答申を受けて区は、来年2月にも条例案を議会に提出する。



 「準公共の場所」も届け出

 答申では、公園や道路、商店街など公共の場所のほか、新たに「準公共の場所」という概念を持ちだし、区への届け出義務を課した。大型店舗や劇場など、公共の場所と同様に人の出入りがある場所を規定するためだ。JRなどの鉄道駅構内も、改札手前まで適用範囲となる見通し。

 「準公共の場所」の内容は条例とは別に、区の規則で、売り場面積や座席数などによって基準を定めることになる。

 また、国や都、警察のほか、個人宅や商店のカメラ設置は適用除外となったが、区内のカメラ全般に、基本原則として「防犯カメラの設置、利用及び画像に関し、適正かつ慎重に取り扱う」ことが求められている。違反した場合の法的制裁はないが、撮られた人々が区へ苦情申し立てをすることができる。



対象範囲など論点 専門家会議議事録から

 「区監視カメラ専門家会議」では、7月末から4回にわたって議論を重ねてきた。三好会長のほか、委員は白鴎大法学部の石村耕治教授、都立大法学部の前田雅英教授、弁護士の三宅弘氏の計4人。区のホームページで公開されている議事録から、様々な論点をまとめた。

 ●公と私

 石村委員 監視カメラについては、警察のスーパー防犯灯などのほか、自治体独自で公共空間に設置するもの、商店会とか自治会など民間機関が設置するもの、それから民間企業とか学校、民間施設、さらには私人の住居とか入り口、駐車場などに設置するものと、いろいろなケースが考えられる。

 この規制として、公共空間だけを規制の対象とするのか、私的空間まで対象とするのか大きな論点がある。

 三好会長 基本的には公共空間に関するものはかなり規制していいと思う。つけることは構わないけれど、映像の管理なり、区の監督なりやってもいいだろう。しかし、公共空間ではないカメラは自由ではないか。

 三宅委員 たとえば、近所の人に玄関先に汚物をまかれるというケースがあった。玄関先に道路まで映すカメラをつけたことで刑事立件ができて、民事賠償もできた。特異な例ではあるけれど、いろいろ義務づけてしまうと、このような設置が難しくなる。

 前田委員 ストーカーなんかで、ドアをどんどんたたいて逃げるというケースもある。そのとき相手から、条例があるんだからその映像を見せろ、こんなのをなぜ撮ったんだなどと言いがかりをつけられる事態も想定される。

 石村委員 確かに、私人が設置したカメラでも、規制の対象となるのか問われる。ただ、できるだけ私的自治の原則を尊重しないといけない。公権力がどんどん入ってくるのは、好ましくない。

原則表示すべき/マイナス効果も

 ●表示

 三宅委員 表示について以前、コンビニから相談を受けたのだが「防犯カメラ設置店」などと表示しておけば、店に行く人が、カメラの設置をわかってなおかつ行くということで、本人が同意した上で映されるという観点がある。

 石村委員 やはり原則としてすべてのカメラに対して表示はするべきだ。ただ、撮影範囲の図などをつけるかは別問題だ。

 三好会長 防犯カメラが行き届かない場所がわかってしまっては、無防備都市を宣言するようなもので反対。

 三宅委員 表示は、設置個数と防犯対象区域だけで足りるのでは。映っていることはわかるわけだから。

 前田委員 私が危惧きぐするのは、届け出などでも具体的に細かいところまで出させると結局、杉並区は防犯カメラを置きにくい区だと、だから防犯カメラを使うのはやめようとなると、非常にマイナス効果だと思う。

(12/2)

http://mytown.asahi.com/tokyo/news02.asp?kiji=2655