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2003年12月02日(火) 02時07分

ハンセン病宿泊拒否謝罪 わだかまり残し和解 「反省ない」批判も西日本新聞

 「わだかまりはある。でも我慢せな」。繰り返し頭を下げる社長に握手され、自治会役員たちは戸惑いの表情を浮かべた。一日、ハンセン病元患者の宿泊を拒否した熊本県南小国町のホテルから再度の謝罪を受けた国立ハンセン病療養所菊池恵楓園(同県合志町)の入所者自治会。同園に批判の電話や手紙が続き心労が募るなか、自治会役員たちは、割り切れない思いを抱いたまま「和解」に踏み切った。

 「心労を掛けたことをおわびします」。事件を起こしたアイレディース宮殿黒川温泉ホテルを経営するアイスター(東京)の江口忠雄社長は深々と頭を下げた。

 十一月二十日の前回謝罪とは打って変わったトップの全面謝罪。しかし、役員の疑いの目は消えなかった。同日午後、ホテル側が事前に行った記者会見で、江口社長が「宿泊拒否問題に関しては、ホテル業として当然の判断であったと考えます」と発言したからだ。

 役員の一人は「少しも反省がない。前より悪くなっている」と声を荒らげた。「宿泊拒否を肯定するなら、元患者を排除するということか」と激しい怒声も上がった。傍聴していた入所者五、六人は、あきれ果てた顔で会場を出ていった。

 約十分後、批判にさらされたホテル側は「このようなことが二度と起きないよう、全従業員を挙げて研さんします」と、用意した謝罪文を読み上げた。

 「入所者は高齢化している。これ以上心配を掛けたくない。これを国民的啓発の契機にしたい」。混乱が長引くことを懸念した太田明自治会長は謝罪受け入れを表明。同県の発表から二週間に及んだ宿泊拒否事件は、一応の決着をみた。「入所者も理解してくれる」。太田会長は集会後、自らに言い聞かせるように語った。

■「宿泊拒否は当然」 ホテル本社社長 「熊本県にも責任」

 国立ハンセン病療養所菊池恵楓園での謝罪に先立つ記者会見で、アイスター(東京)の江口忠雄社長(53)は「謝罪はしたいが、ホテル業として宿泊拒否は当然の判断だった」と述べた。

 その理由として「私たちが元患者の方々だと知ったのは(宿泊の)直前。予約から二カ月近くの間、ひた隠しにしていた県側に責任がある。予約の段階で県側から知らされていたら、他のお客とお互いが納得して利用できた」と話した。

 これに対し、熊本県健康づくり推進課の東明正課長は「偏見に基づく発想だ」と険しい表情。発言の内容を確認の上、同社に抗議を含めた対応を検討する考えを示した。

 東課長は「宿泊者が菊池恵楓園の入所者ということは宿泊者名簿を出す段階でホテルの問い合わせに応じて説明しただけ。それを事前に知りたいと思うこと自体が偏見」と指摘。「完治して他人にうつす可能性もない過去の病気を知らせる必要があるなら、個人の宿泊者は『二十年前に結核だった』などとホテルに言わなければならないのか」と同社の「責任転嫁」に不快感を示した。(西日本新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031202-00000019-nnp-kyu