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2003年12月02日(火) 22時28分

「ワンマンで金に渋い」一代で業界大手築いた武井容疑者朝日新聞

 盗聴容疑で2日に逮捕された武富士会長の武井保雄容疑者(73)は、団地の主婦相手に始めた貸金業を、一代で業界大手に育て上げた。働き者だとの評価の一方で、「ワンマンで金に渋い」「暴力団など闇社会と関係があるのではないか」との評もある。

 1930年1月、当時農村地帯だった埼玉県明戸村(現・深谷市)で生まれた。実家は酒や雑貨を売る店で、姉2人と弟1人がいる。終戦前年の44年に地元の国民学校高等科を卒業し、陸軍飛行学校に進んだ。戦後は家業を手伝い、地元の関係者が「自転車の荷台にせっけんや日用品を山のように積み込んで仕入れていた。支払いは必ず現金だった」と振り返る。

 駅勤務などを経て上京、ビルの窓ふきやパチンコ店の手伝いのほか闇米の販売に携わったこともあるという。

 66年に東京都板橋区の団地に住む主婦らを相手に「団地金融」を始めた。貸金業の始まりだ。「無担保・無保証」「即日決済」と書いたガリ版刷りのチラシを郵便受けに入れて回り、顧客を増やした。有限会社武富士商事から武富士と名前を変え、業績を伸ばした。

 82年には杉並区の閑静な住宅街に、鉄筋2階建て(延べ床面積約1840平方メートル)の豪邸を建てた。総工費は約30億円ともいわれる。深い木立と鉄格子に囲まれた約4800平方メートルの敷地内には、住宅のほかプールや社員の研修施設「真正館」もある。宿泊する社員は1泊につき8000円を支払う。おにぎりと焼きそばが出る。

 正月にはここの大広間でカラオケ大会が開かれる。武井会長のおはこは「花と竜」や「無法松の一生」などだ。だが社員らは「カラオケの操作が遅れると飛ばされる。会長を待たせたら大変」と緊張していた。

 十数年前、武井会長の母親が亡くなった。弔問に訪れた深谷市幹部に渡された袋には、販売促進用の腕時計が入っていた。元幹部は「300円か400円ぐらいの代物。こちらからつきあいたい相手ではなかった」。

 一方で地元の小中学校には輪転機や100万円単位の寄付を続けた。86、89年には市功労者として表彰された。98年10月には深谷商工会議所に請われて顧問にも就いた。また01年8月には、廃部が決まっていたバレーボールVリーグチーム「イトーヨーカドー」を地元経済人らの仲介で引き継いだ。

 元社員は「身内や、自分の味方になる人への面倒見はよかった」と話す。

 暴力団との関係を指摘する関係者もいる。96年の店頭公開をめぐって右翼団体の街宣活動を受けた際、複数の暴力団関係者に処理を依頼したとされる。元渉外部長がその後、武富士に「店頭公開の成功報酬」の支払いを求めた民事訴訟(今年9月に最高裁で確定)で、暴力団関係者への依頼は事実と認定された。

 判決は、武井会長が元渉外部長に対し「暴力団との関係修復と右翼団体の妨害行為の件を、体をかけてきちんと処理してくれ。店頭公開したら5億円を約束する」と述べたことを認め、武富士に4億円の支払いを命じた。

(12/02 21:25)

http://www.asahi.com/national/update/1202/037.html