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2003年12月01日(月) 00時00分

米軍情報漏れ、フセイン残党待ち伏せテロラディン恐怖本格化ZAKZAK


駐留米国兵によって搬送される奥克彦・在英国大使館参事官と井ノ上正盛・在イラク大使館3等書記官の遺体=ティクリット、AP 【ティクリート(イラク北部)1日=夕刊フジ特電】イラク北部ティクリート近郊のシモムで29日午後5時(日本時間同11時)ごろ、早大ラグビー部出身の熱血外交官と、アラビア語に精通した若き外交官がフセイン残反の犯行とみられるテロで尊い命を奪われた。対象は米軍施設や駐留外国軍などの「ハードターゲット」から米支援組織の「ソフトターゲット」へ。米軍の情報漏れによる待ち伏せテロの可能性が高い。背後では『狂気のテロリスト』ラディンが不気味にうごめく。無差別テロの狼煙(のろし)。自衛隊派遣に絡み、東京の心臓部を狙ったテロがいよいよ、現実味を帯びてきた。

 【いきなり乱射】

 殺害されたのはイラクに長期出張中の奥克彦在英国大使館参事官(45)と、在イラク大使館の井ノ上正盛書記官(30)、イラク人の運転手の3人。

 奥参事官らの乗った車は、黒の四輪駆動車で、窓ガラスを防弾仕様にした軽防弾車だった。


井ノ上正盛・在イラク大使館3等書記官 目撃者の話だと、奥参事官の車を追尾していた車が左側に並走し、奥参事官らの車にロシア製自動小銃で一斉に乱射し始めたという。

 奥参事官らの車は路肩にはずれ、約60メートル走って止まったという。

 奥参事官らの黒い四輪駆動車の車体左側には無数の弾痕。「ドアを開けたら前部座席に2人、後部座席に1人が血の海の中で倒れていた。1人はまだ息があり、苦しいうめき声を上げていた」(現地警察官)

 現地警察は現金を含め所持品が盗まれていないことから、強盗ではなくテロとの見方を強める。日本政府の要請で、遺体は米軍によってバグダッドに到着後、クウェートに向かった。今週末にも日本に搬送される。

 【米軍の情報漏れ?】

 ティクリートはバグダッドの北約150キロに位置する元大統領、フセイン(65)出身地で、反米感情の強い「スンニ・トライアングル」と呼ばれる一帯にある。


奥克彦・在英国大使館参事官 ゲリラ民兵組織「サダム・フェダイーン」など、フセイン残党ら反米武装勢力の拠点である。

 日本大使館用とは分からないように、国旗やナンバープレートはなく、武装した警備員もつけていなかった。そんな状況で奥参事官らはなぜ狙われたのか。

 反米武装勢力はこれまで、米軍の情報漏れをにおわせるターゲットを狙っていくつかのテロを引き起こしている。

 8月19日に起きた国連事務所への自爆テロでは、国連事務総長の執務室の直下に爆発物が仕掛けられた。ブッシュ米政権の「ネオコン」(新保守派閥)の急先鋒(せんぽう)であるウォルフォウィッツ米国防副長官の宿泊ホテルが狙われた10月26日のテロでは、副長官の部屋の1階下が狙われている。

 このほか、米紙の報道だと、未遂に終わった米軍大佐暗殺計画では大佐のジョギングコースを狙っており、米国防副長官の泊まったホテルにはフセインの情報機関員が少なくとも1人従業員として紛れこんでいたとされる。

 【わずか2時間】

 奥参事官らは29日、非政府組織(NGO)も参加して米軍の民生部門がティクリートで開催するイラク北部地域の復興支援会議に出席し、翌30日にはバグダッドに戻る予定だった。行程はわずか2時間であった。

 奥参事官らの日程は米軍側に通知しており、反米武装勢力が何らかの方法で奥参事官ら情報を入手し、車で現地に向かう途中に待ち伏せ→狙い打ちした可能性が高い。

 奥参事官らは大使館に詰めるイラク人警備員が同行することを申し出たが「大丈夫だよ」と断ったという。

 政府関係者は「現地では毎日銃声を聞いているため、慣れてしまうことがある」と話す。

 【テロに屈しない】

 日本政府は川口順子外相を本部長とする緊急対策本部を設置。小泉純一郎首相は「テロに屈してはならない。日本はイラクの復興支援でやるべきことはやらなければならない」と述べ、自衛隊派遣の方針を変更しない意向を示した。

 3月20日のイラク戦争開戦以降、日本人の同国での死亡は初めてで、政府が受けた衝撃は図りしれない。

 【ハードからソフトへ】

 今回の事件は、日本も「親米国」として反米勢力の格好の標的になっていることを露呈した。反米勢力の標的は、警備が厳重で返り討ちにあうハードターゲットから、国連職員や外交官、援助関係者、報道陣などのソフトターゲットに変わりつつある。無差別化も顕著な傾向である。

 ソフトにも対象を拡大することで、国際社会に「イラクは危険」という印象を植え付け、米主導によるイラク復興計画の挫折を狙っている。

 今回、日本人であることを承知した上での犯行かどうかは不明だが、米国関係者や外交団の使う四輪駆動車は、反米勢力の標的になりやすい。

 【ラディンの影】

 自衛隊派遣がイラク国内をはじめ、中東地域で大きな話題を集めているのは事実である。

 ラディン率いる国際テロ組織「アル・カイーダ」からは11月に入って2度、「日本がイラクに自衛隊を派遣すれば、東京の中心部に攻撃を加える」「死の車が爆発するであろう」というテロ予告の声明がアラブ誌などに届いている。

 米国の重要な同盟国・日本が攻撃された場合、米国に大きな影響を与えるのは必至。反米勢力にとって日本は「価値の高い標的」でもある。

 【過去最大規模の襲撃】

 イラク駐留米軍によると、中部サマラで30日、移動中の複数の米軍車列が武装勢力から激しい銃砲撃を受けた。米軍は反撃し、武装勢力側の46人を殺害、8人の身柄を拘束した。

 米軍を狙ったテロとしては、過去最大規模の襲撃だという。

 米軍によれば、武装勢力にはサダム・フェダイーンの残党が含まれていたとみられている。

 現地は自衛隊調査団の報告で「比較的安全」とされていた地域。サダム残党とアル・カイーダが結託した反米勢力は、派遣された自衛隊に向けて不気味な牙を研ぐ。

ZAKZAK 2003/12/01

http://www.zakzak.co.jp/society/top/t-2003_12/1t2003120103.html