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2003年11月30日(日) 14時38分

社説2 地上波デジタルへの期待日経新聞

 地上波デジタル放送が1日、三大都市圏からスタートする。アナログ放送に比べ画質や音質に優れ、電子番組ガイドなどの双方向サービスや多チャンネル化も可能になる。今年はテレビ放送開始50周年にあたるが、デジタル化に伴う新しい映像市場の広がりに期待したい。

 放送のデジタル化は設備投資に費用がかかり、視聴者もテレビの買い替えやアンテナの再配置が必要になる。現行のアナログ放送は2011年で打ち切る予定だが、一連の出費に対し否定的な声も聞かれる。

 しかし放送のデジタル化はもはや避けて通れない。CDやDVD(デジタル多用途ディスク)など音響映像媒体はデジタル化が進み、放送との親和性が求められている。欧米では1998年からデジタル放送が始まり、世界の潮流となっている。

 デジタル化のもう一つの大きな狙いが電波の有効活用だ。携帯電話やカーナビなど様々な無線機器の普及で電波不足が問題となっている。広い周波数帯を使う放送をデジタル化し、一部を開放すれば、新たな無線サービスが可能になるからだ。

 地上波のデジタル化には課題も多い。現行放送との干渉を防ぐため、一部の周波数帯では「アナアナ変換」と呼ばれる入れ替え作業が避けられない。約1800億円の対策費用は国費で賄うことになったが、実際の作業も急ぐ必要がある。

 番組内容は当面、アナログ放送と同じサイマル放送が中心となるが、先行するBS(放送衛星)デジタル、110度CS(通信衛星)デジタル放送との使い分けも迫られよう。ケーブルテレビが普及している都市部や難視聴地域ではケーブル設備のデジタル対応も課題である。

 一方、プラス面もある。BSデジタルや110度CSは受像機普及の遅れから苦戦が目立っている。地上波デジタル向けの新しいテレビや専用受像機は三つのデジタル放送に対応しているため、BSやCSの視聴者を増やすきっかけにもなろう。

 地上波デジタル放送は今後10年で40兆円、関連市場を含めると200兆円の経済効果があると期待されている。にわかに活気づいたデジタル景気を維持するためにも用意周到な放送のデジタル化が急がれる。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20031130MS3M3000L30112003.html