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2003年11月29日(土) 00時00分

犯罪白書 打つ手があるはずだ 東京新聞

 犯罪の増加や悪質化が国民の不安を募らせている。犯罪白書には、どうすべきかの記述が少ない。国民が求めているのは分析の統計数字ではなく、犯罪増加に歯止めをかける具体的な対策である。

 「治安に対する国民の意識が安全から不安へと変化しつつある」。二十八日に閣議了承された犯罪白書は冒頭、こう指摘している。国民の不安感をいかにしたら払拭(ふっしょく)できるかは切実な課題である。

 白書によれば、二〇〇二年の刑法犯の発生認知件数は交通事故を除いて二百八十五万四千件と、戦後最多記録を七年連続で更新した。検挙率は20・8%で前年より約1ポイント上昇したが、最低水準が続いている。事件の急増に検挙が追いつかない深刻な事態である。

 特に、刑法犯の発生認知のうち強盗は六千九百八十四件と七年前の約三倍に達した。戦後の混乱期を除き、これまでになく急増している。検挙率は約五割で、二件に一件は未解決になっている。

 中でも少年グループによる路上強盗の増加が目立ち、暴力団と来日外国人が結託した強盗の増加も見逃せない。大都市圏周辺の新興住宅地にまで強盗被害が拡散しているのも新しい傾向である。

 白書は継続的な犯罪統計の分析が主目的だが、全五百ページ余りのうち、「対策と課題」は三ページにすぎない。治安対策は切迫した国民的課題だ。具体的な対策に一歩でも踏み込む姿勢を望みたい。

 検挙に勝る防犯はない。一九八〇年代後半まで60%前後と国際的にも高水準を誇った検挙率が、なぜ急落したか。その詳細な分析を求めたい。検挙率を上げることが、全体的な犯罪抑止につながるからだ。

 重要犯罪の摘発を最優先し、窃盗や恐喝などの捜査に十分手が回らなかった時期があった。それが犯罪増加と検挙率低下を招いたとの元警察幹部の指摘がある。強盗に急変しやすい窃盗や恐喝を徹底的に取り締まることが、未然防止につながることを強調したい。

 先の総選挙では各党が治安対策を政権公約に掲げた。警察官の増員を共通に挙げていたが、それだけでは解決しない。警察官の適正配置のほか、検察官の増員や入管体制の強化など早期に打つべき対策はある。自治体、住民との連携も必要だ。

 九月に初会合を開いた犯罪対策閣僚会議では、「犯罪に強い社会実現のための行動計画」を年内に作成する方針を表明した。各省庁の縦割り行政を超えた効果的な犯罪防止策の構築へ、もっと知恵をしぼりたい。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20031129/col_____sha_____003.shtml