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2003年11月28日(金) 06時50分

海外の無施錠ロッカー盗難に保険金支払い命令 大阪高裁朝日新聞

 海外で、鍵をかけないままロッカーに愛用のカメラを入れ、約30分後に戻ったら盗まれていた——。この場合、クレジットカード用の損害保険が支払われないのはおかしいとして、関西の国立大大学院法学研究科の男性助教授(36)が、三井住友海上火災(東京)を相手に、保険金の支払いを求めた訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。竹原俊一裁判長は、助教授の請求を退けた大阪地裁判決を変更し、カメラの時価分として1万7000円を支払うよう同社に命じた。

 判決によると、助教授は、研究のためドイツの大学に滞在した昨年8月、研究棟のロッカーにカメラを入れた。鍵をかけようとしたとき知人に声をかけられてその場を離れ、約30分後に戻ってくるまでの間に盗まれた。

 助教授が加入していた海外旅行傷害保険の約款は、「旅行中に携行品が盗難などの偶然な事故にあった場合、保険金を支払う」と定めていた。このため裁判では、ロッカーに入れていたカメラが「携行品」にあたるかどうかが争われた。

 保険会社側は「携行品には支配や管理が及んでいる必要があるが、鍵をかけずにその場を離れていたのだから対象外」と主張。対して高裁判決は「約款の対象は、支配や管理の程度を問わず、旅行に携えて行く身の回り品という広い意味で解釈すべきだ」と指摘。「ロッカーを施錠せずに使う人が多くいたことなどを考慮すると、カメラは助教授の支配・管理下にあった」と判断した。

 約款が「置き忘れや紛失の場合は支払わない」と定めていた点についても、判決は「鍵をかけるのは忘れたが、置き場所を忘れたわけではなく、置き忘れにはあたらない」とした。

 助教授は購入時の代金約6万円の支払いを求めていたが、判決は「時間の経過で時価は下がっている」などとして損害額を1万7000円とした。

 6月の大阪地裁判決は「施錠しないまま30分間もその場を離れており、支配・管理していたとは認められない」として請求を棄却。助教授が控訴していた。

 助教授は「保険金が支払われずに泣き寝入りしている人が多いはず。自分の職業柄、黙っていない方がいい」と、弁護士をつけずに提訴した。「約款には『疑わしきは作成者の不利益に』という法解釈上の原則があるが、実際にあてはめた判決はこれまで見あたらなかった。大学で教えられているこの原則が適用され、満足している」と話している。

◆三井住友海上火災広報部の話

 判決の詳細を把握しておらず、内容を十分検討して今後の対応を決めたい。(11/28 06:49)

http://www.asahi.com/national/update/1128/008.html