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2003年11月28日(金) 00時00分

「みずほ銀は最悪」、若手行員8割「転職したい」床に正座させて長時間説教…旧態依然の社風ZAKZAK


預金流出ならぬ人材流出に頭を悩ませるみずほ銀行 なんと、若手行員の8割が転職検討−。2年連続の巨額赤字から、ようやく業績が上向いてきた資産規模世界一のみずほフィナンシャルグループだが、深刻な問題を抱えている。みずほ銀行の若手行員の6割が転職を検討し、2割がチャンスをうかがうなど、『みずほ離れ』が止まらない。背景には旧3行の人間関係のギクシャクも絡み、元行員も夕刊フジの取材に対し、旧態依然のみずほの驚くべき内情を明かす。

 【業績やっと回復】

 システム障害や中小企業に対する融資目標の未達による業務改善命令、歴史的な株価急落、取引先からの1兆円増資など、みずほは3行統合以来、逆境が続いてきた。

 今年3月決算の2兆3000億円の最終赤字から、9月中間決算ではやっと2553億円の黒字に転換し、業績が回復してきた。

 【人材が命なのに8割も】

 だが、大企業中心のみずほコーポレート銀行に対し、個人客などリテール中心のみずほ銀行ではこの夏、管理職を除く若手行員を対象に意識調査を実施した。

 その結果に驚きが走った。実に6割近くが「積極的に転職を検討している」、2割が「チャンスがあれば」と回答したのである。

 「人材が命」の銀行にあって、深刻な数字と言わざるをえない。

 【入行6年目で半数が辞める?】

 「入行から1年半で、同期の3割がいなくなった。6年目の行員は半分が辞めたと聞いた」と語るのは、元みずほ行員の稲村圭氏(26)である。

 ただし、稲村とは仮名。何のシガラミもなく、みずほを辞めているだけに、歯にきぬ着せない言葉には説得力がある。

 稲村氏自身は平成13年入行組で、“出世コース”である大都市の支店に配属されたが、1年数カ月で退社した。

 【残酷物語】

 稲村氏の執筆で話題の『若手行員が見た銀行内部事情』(アルファポリス刊)には、秘密のベールに包まれた超エリート集団・メガバンクの「残酷物語」とでもいうべきエピソードが満載である。

 なぜ、若手行員の『みずほ離れ』が止まらないのか、その辺の事情の一端がうかがえる。

 【床に正座させて長時間説教…】

 本の内容を若干、紹介する。

 《朝8時から夜11時ごろまで働いて、なお自宅に仕事を持ち帰る。残業は月100時間を超えるのに残業代は5、6時間分だけ》

 《先輩・上司には絶対服従で、許可なしには食事も帰宅も仕事中に席を外すこともできない》

 《床に正座させて長時間説教をする上司。ミスをした行員を支店の用紙庫に閉じ込めて反省させる上司。酒席での無理難題や女子行員へのセクハラ…》

 【社長訓示はどこへ】

 稲村氏自身も家庭の事情で遅刻しただけで、退職に追い込まれそうになった経験を持つ。

 前田晃伸社長は14年春の入社式で、「マニュアル通りにやるな。上司の言うことを聞くな。責任は上司に取らせろ」と訓示している。

 だが、ある新入行員は支店配属直後、副支店長に呼び出され、3、4時間にもわたり、“社長3カ条”を全否定する説教を食らったという。

 【体育会以上?】

 シゴキと猛特訓で知られる大学の体育会でさえも、上下関係が緩やかになってきている時代の話とはとても思えない。

 「最近の若者はガマンが足りない」とお思いのサラリーマン諸氏もいることだろう。

 稲村氏もそれを承知のうえで、「銀行の場合、現実と理想のギャップがあまりにも激しすぎる」と指摘する。

 【社風が険悪】

 稲村氏は就職活動中、人事担当者から「銀行の社風」の説明を受けた。

 「風通しのいい会社」「銀行を変えてくれるのは君たちだ」

 ところが入行後、こんな実感を抱いた。

 「同期や他企業で働く知人から話を聞いた結果、自分がいる企業はどの企業よりも社風が険悪であり、自分には向いていないと判断した」

 外為のディーリングなど華やかな本店で働けるのは1割に過ぎない。東大や京大など学歴・学閥も優遇される。

 稲村氏は「希望部署に行けなくても、労働環境が良ければ残ることも考えられたが、居心地がよくなるとは思えない。社風や労働時間、仕事内容を天秤(てんびん)にかけると残る理由がなくなった」と、みずほに見切りを付けた経緯を説明する。

 【賃金カットは無関係】

 みずほは昨秋から行員の賃金を10%カットしているが、稲村氏は「給与やボーナスが減ったから転職しようという話は一切聞いたことがない」と断言する。

 それでも、給与水準は一般企業より高く、みずほの場合、50歳前後の支店長経験者が早期退職すると、割り増しで1億円近い退職金が支払われており、銀行マンはやはり、超高給取りである。

 「もともと同期には安定してみずほで一生を過ごそうという人は周りにはいなかった。『まず3年ぐらい働いて、みずほが大丈夫なら残るが、ダメなら外資へ行く』という感じだった」

 同期の転職先は、シンクタンクや商社、メーカー、マスコミ、公認会計士から政治家秘書までさまざまだという。

 【他行も同じ】

 別の私大出身のみずほ関係者はこう語る。

 「旧興銀出身者は、国策銀行としてのエリート意識が旧富士、旧勧銀より強く、大学も圧倒的に東大卒が多い。旧行時代は給与も高かった」

 「一般企業でいう課長の下には、平等に旧3行の係長は1人ずつ配置したように、人間関係がギクシャクしていた。形だけの悪平等ですよ」

 だが、稲村氏に寄せられるメールでは、他の銀行も同じだという。

 「理想とのギャップを小さくするため、就職活動中の学生にも現実を知ってほしい」と執筆理由を明かす稲村氏。

 今後、銀行の体質が変わるかについては「一度醸成された空気には逆らえないと思う」。

 みずほは、人材流出を食い止める具体策の検討に入っているというが、「魅力ある会社」に変わることはできるのか。

ZAKZAK 2003/11/28

http://www.zakzak.co.jp/society/top/t-2003_11/1t2003112818.html