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2003年11月28日(金) 00時00分

政府税調報告 痛み求めるばかりでは 東京新聞

 政府税制調査会の報告は、増税の項目ばかりが目立った。財政事情の厳しさからだろうが、国民の心理を冷やすだけではないか。経済を後押しする税制の活力を打ち出してほしいものだ。

 首相の諮問機関である政府税制調査会は二十七日、来年度税制改正の中間報告を小泉純一郎首相に提出した。地方への税源移譲などは、今回の報告には含まれず、来月中旬の最終答申に盛り込まれる。

 報告の内容は実質増税のオンパレードである。公的年金等控除、老年者控除、住宅ローン控除の縮小、個人住民税の引き上げなどだ。首相が「任期中には上げない」と言明している消費税についても、説明抜きに将来の増税をにじませている。

 減税は、連結納税適用企業の連結付加税の廃止くらいだ。これはもともと、連結納税導入に伴う税収減を緩和するための過渡的な措置であり、廃止は当然である。減税といえるほどのものではない。

 報告がほぼ増税一色なのは、危機的な財政状況の中でいかに税収を確保するか、という問題意識からだろう。財政当局としては当然かもしれないが、国民には「冷たい」という印象しか残らない。

 一方、今回の税制改正の焦点とされていた所得税の定率減税(二兆五千億円)廃止問題は、触れられていない。これは、公的年金の基礎年金部分の国庫負担割合を、現行三分の一から二分の一に引き上げるための財源(二兆七千億円)問題と、密接に絡んでいる。

 公明党がこの財源として、定率減税廃止を求めていたのに対し、自民党は景気対策の観点から難色を示している。微妙な政治問題になっているため、政府税調はあえて結論を避けたとみられる。

 定率減税は、一種のつかみ金的な政策であり、財政の豊かな時代ならまだしも、減税の手法としては感心できるものではない。だからといって、いま定率減税を廃止することには問題が多い。財政デフレ効果のため、底離れしかけた景気を再び後退させかねない。今後も、慎重な論議を求めたい。

 年金の国庫負担増は、当面、年金積立金の取り崩しで賄うことも考えてよいのではないか。最善が無理なら次善。恒久的な財源問題はもう少し論議を煮詰めてもらいたい。

 財政は国家の骨格であり、税収はその柱である。税制は国民にとって公平、中立であるとともに活力をもたらすものでなければならない。同時に、経済を活性化させる税制も常に考慮されるべきだ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20031128/col_____sha_____002.shtml