悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年11月27日(木) 03時01分

不動産取引価格公開へ、国交省方針 個人名除きネットで朝日新聞

 国土交通省は、土地やマンションなど個別の不動産の取引価格を公開する方針を固めた。土地の価格は公示地価などで公表されているものの、実際の取引価格と乖離(かいり)しているといわれ、一般の人が売買する時、価格が適正かどうか判断する情報が少なく不透明だという指摘があった。計画では、05年度にも、全国的に登記の時点で取引価格を届け出る仕組みにし、個人名などを除き価格をインターネットで公開する。

 同省によると、公表を想定している情報は土地のほか、マンション、オフィスビルなどの建物の取引価格。個人情報を保護する観点から、価格情報は登記簿には載せず、取引をした人の名前や物件の地番が入った住所も公表しないが、丁目単位の地区ごとに取引価格のほか、面積、建物の種類や床面積、取引した時点などを公開する。

 また、地理情報システム(GIS)と呼ばれる地図情報と価格情報を連結させ、調べたい地域をインターネットの地図上で探しだし、取引価格を表示できるようにするなど、一般の人が利用しやすい方法にする。このシステムの運営主体は同省土地・水資源局とする考えだが、具体策は今後詰める。

 同省は、登記時に価格の報告を義務づけるため、来年の通常国会に新法を提出するか、必要な法改正を行う。虚偽の届け出や届け出を怠った場合の対応も、それまでに決めるとしている。

 国交相の諮問機関の国土審議会の土地政策分科会企画部会が昨年12月から、世論調査を実施するなどして検討を進めてきた。同部会は28日に最終報告書をまとめ、12月にも国交相に提出する。

 議論の過程では、地番を含めて具体的な情報を公表すべきだという意見が強かったが、「個人の財産が特定されるなど、個人情報の混乱が出る」「国民の協力が得られにくい」などの反対意見もあった。このため、同省は当面、地点での公表を見送り、個人の特定がされにくい地区単位で公表することにした。

 土地取引の基準になる価格情報は、公示地価などがある。しかし、公示地価は調査地点数が全国で約3万と数が少ないうえ、調査が年1回と制約が多い。また、建物があっても、建物がない更地として評価するため「実際の取引価格を反映していない」との批判が強い。

 新制度により、年160万件あるという不動産売買が登記の時点で価格が把握でき、より細かな情報が分かるようになる。同省は「公示価格と取引価格を合わせて利用すれば、より透明性が増す」とみている。

 同省によると、米国の多くの州や英国、シンガポールなどでは、個別の取引価格を公表している。しかし、国内では、不動産業者間で売買価格の情報をやりとりしてデータベース化するシステムはあるものの、一般の人向けに個別の取引価格は公表していない。このため、同省で取引価格の公表制度の導入に向けた検討を続けてきた。(11/27 03:01)

http://www.asahi.com/national/update/1127/003.html